能登の中高生「家なくなっちゃった」けど「束になれば何でもできる」 復興に向けプロジェクト立ち上げ(2024年2月14日『東京新聞』)

「若い力で能登を生き返らせる」
 そんな思いを胸に、石川県能登地方の中高生らが復興プロジェクトを始めた。第1弾として輪島市内で11日に行った炊き出しには長い列ができた。発起人の輪島高1年、久保穂乃佳さん(16)は「能登の未来を担うのは私たち。いつまでもしくしくしてられない」と意気込む。
炊き出し支援に取り組む久保穂乃佳さん(右から2人目)ら高校生=石川県輪島市河井町の重蔵神社で

炊き出し支援に取り組む久保穂乃佳さん(右から2人目)ら高校生=石川県輪島市河井町の重蔵神社で

 輪島市内に住む祖父母の自宅で被災した久保さん。祖父母宅は損壊し住めなくなり、祖父母と家族3人の計5人で石川県小松市内のアパートに避難している。

◆「大人」も巻き込んで炊き出しを実現

 当初から絶望感はなく「未来の能登について若者同士で語り合いたかった」。1月中旬ごろから友人らを通じて能登出身の中高生や大学生に声をかけ、オンラインで交流会を開いた。
インスタグラムで開設された「のと中高生復興プロジェクト」のアカウント

インスタグラムで開設された「のと中高生復興プロジェクト」のアカウント

 「家なくなっちゃった」と話すメンバーも。無力さを感じたが、「微力な若者も束になれば何でもできる」と復興への思いが強まった。神奈川や熊本など県外の高校生らも加わり、メンバーは15人。「のと中高生復興プロジェクト」と題し、インスタグラムなどでもアカウントを開設した。
 炊き出しでは、子ども食堂NPO法人、県外企業などに協力を依頼。おにぎりやぜんざい、焼きサケなど300食分の食材を用意した。久保さんは「こんなに多くの大人に協力してもらえるなんて思っていなかった」と話す。
 3月13~17日に小松市内である日本商工会議所青年部全国大会で、若者が考える能登の未来をテーマに企業関係者らにプレゼンする。久保さんは「若い力の存在感を示していけたら」と話した。(柴田一樹)