ごみの山、住民途方に 「いつ片付け終わるのか」―4市町で59年分・能登地震(2024年2月11日配信『時事通信』)

 
地震の影響によって崩れた家屋と道路に散乱しているがれき=10日、石川県輪島市

地震の影響によって崩れた家屋と道路に散乱しているがれき=10日、石川県輪島市

  • 被災した自宅兼店舗から災害ごみを運び出す漆塗り職人の男性=4日、石川県輪島市
  • 仮置き場に運び込まれた冷蔵庫などの災害ごみ=4日、石川県穴水町

 能登半島地震では多くの家屋が損壊し、解体などで出る災害ごみは、石川県の推計で244万トンに上る。被災地の全市町に仮置き場が設置されたが、地震で車が壊れたり、遠方に避難したりして片付けに着手できない人も多い。特に被害の大きかった半島北部の4市町では、通常のごみ排出量の59年分に相当するといい、住民は途方に暮れている。

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 同県能登町では5日、被災自治体で最後に仮置き場が設置され、ごみを持ち込む車で渋滞が発生した。木くずや瓦を捨てに来た女性(75)は「きょう来るのは2回目。ようやくごみを出せてうれしい。また来るつもり」と話した。

 1万棟以上の建物が全半壊したとみられる珠洲市では1日に設置されたものの、1週間以上たっても乗り入れる車はまばらだ。市の担当者は「(震度6強を観測した)昨年5月の地震と比べて少ない。道路状況が悪く、ごみを持ち込めない人も多いのでは」と推測する。

 市内では倒壊したまま手付かずの家屋も目立ち、道路脇にはがれきが山のように積み上がっている。壊れたテレビなどを持って来た男性(65)は「まだまだ捨てる物がたくさんある。人の手を借りないと半年ぐらいかかりそうだ」とこぼした。

 輪島市は市民の負担を減らすため、委託業者が民家の前に置かれたごみを回収する方式を採用した。漆塗り職人の男性(60)は、長距離バスで避難先の金沢市から自宅兼店舗の片付けに来たが、「帰りのバスの時間もあり、1日3~4時間しか作業できない。週末にまた来るが、いつ終わるのか」と頭を抱えた。

 県は仮置き場の増設や、建物の公費解体を進めるなどし、2025年度中の処理完了を目指している。