法務省、夫婦同姓は「明治以降」 日本伝統か問われ(2024年12月13日『共同通信』)

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 13日の参院予算委員会で、現行の夫婦同姓制度は日本古来の伝統であるかどうかが問われた。立憲民主党の田島麻衣子氏が、選択的夫婦別姓を導入すれば日本の伝統が損なわれるとする岩盤保守層の指摘を念頭に、質問した。法務省の竹内努民事局長は、夫婦同姓制度は江戸時代には存在せず、明治時代の民法制定により導入されたと答弁した。
 歴史的経緯を巡り、竹内氏は「江戸時代は一般的に農民、町民に氏の使用は許されておらず、平民に氏の使用が許されたのは明治3(1870)年だ」と説明した。
 妻が実家の氏を名乗る時期を経た後の明治31(98)年、民法の施行に基づき夫婦同姓制度が取り入れられたと指摘した。

明治以降、庶民も「姓」の使用を開始 夫婦別姓(2021年6月23日『産経新聞』)
 
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判決を受け取材に応じる原告団ら=23日午後、東京都千代田区(鴨志田拓海撮影)
夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は、規定は「合憲」とする判断を示したが、日本ではいつから一般庶民が「姓」を使用するようになったのか。
江戸時代までは武士や貴族らを除く農民・町民などの一般庶民が名字(姓)を使用することは許されておらず、許されるようになったのは、明治3年の太政官布告からとされる。
同8年の布告で姓の使用が義務化されたが、これは徴兵制度の導入に伴い兵籍(軍人としての身分)を調べる必要があり、軍からの要請だったとされている。
妻の姓については、9年の太政官指令で「所生ノ氏(実家の姓)」を用いることとされ、いわゆる「夫婦別姓」だった。だが実際には、妻が夫の姓を名乗ることが慣習化していったとみられる。
夫婦が同じ姓を名乗るよう正式に定められたのは31年。同年に成立した明治民法には、戸主(当主)を中心とした「家」と呼ばれる家族制度が導入され、夫婦の姓について直接規定されず、「家」の姓を名乗ることを通じて同じ姓になるという考え方が採用された。
その後、昭和22年の民法改正により「夫婦は夫または妻の姓を名乗る」という、現在の夫婦同姓の仕組みが確立。明治民法以来の夫婦同姓の原則を維持しつつ、男女平等の理念に沿ったものとなった。