時折涙を浮かべ、質問に答える玉木氏
10月の衆院選で躍進した同党を率い、与野党の駆け引きでキャスチングボートを握る「時の人」となっていただけに、SNS(ネット交流サービス)などでは「残念」「脇が甘い」といった批判の声が上がる一方、「政策をがんばってほしい」などと擁護する声も散見された。
こうした反応を専門家はどう見るか。東北大の増沢隆太特任教授(危機管理コミュニケーション)に聞いた。
◇「事後対応は悪くない」
週刊誌ウェブサイト「スマートフラッシュ」が今回の記事を配信したのは11日午前6時。内容は、衆院選の投開票から3日後の10月30日深夜に玉木氏が東京都内のワインバーで女性と密会していたなどとするものだった。
配信から約3時間半後、玉木氏は国会内で記者会見を開き、事実関係をおおむね認めた上で陳謝し、「浮かれた部分があったと思う。冷静さを失った行動だった」と語った。
記者会見を受け、SNSなどでは「早く認め陳謝する態度は潔い」「政治家であってもプライベートはプライベート」といった反応が少なからずあった。
こうした声について増沢さんは「『プライベートと政治活動は別』といった意見がこれまでになく目立った。政治家のスキャンダルを巡る反応としては珍しい」と驚く。
その理由として、増沢さんは謝罪の迅速さを挙げる。「事実をすぐに認めて謝罪したことは『事後対応』としては悪くなかった」と一定の評価をする。
◇「現時点で致命傷になっていないだけ」
ただ、擁護論は一時的なものと増沢さんは考えている。
「現時点で致命傷になっていないが、これまでの同様のケースを振り返ると、致命傷になってもおかしくないスキャンダルだ。謝罪会見だけでは『やらかし』をゼロにできず、ダメージがあることに変わりはありません」
そもそもの危機管理の姿勢についても疑問を呈する。
「衆院選で躍進して以降、マスコミの『スキャンダル探し』の対象になっているのに、その直後に軽率な行動を取った。危機管理ができているとはとても言えません」
その上で、増沢さんは玉木氏の今後について「発信力が弱まるといった悪影響が出てくる可能性はある」とみている。【岡田英】