来年4月の開幕を控えた大阪・関西万博には…(2024年11月2日『毎日新聞』-「余録」)

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当選確実となり万歳する萩生田光一氏(中央)=東京都八王子市で2024年10月28日午前0時5分、幾島健太郎撮影
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製作中の「ミライ人間洗濯機」の横に立つエンジニアの山谷英二さん(右)とサイエンスの青山恭明会長=大阪市淀川区で2024年9月17日、加古信志撮影
 来年4月の開幕を控えた大阪・関西万博には「ミライ人間洗濯機」という装置の展示が予定されている。文字通り、内部に入った人を洗う機械である
▲1970年の大阪万博でも、人間洗濯機は注目された。卵形カプセルの浴槽に湯をためて、噴き出す気泡がはじける時の超音波で体の汚れを落とす装置だった。半世紀以上を経て登場する新しい洗濯機は体だけでなく、ストレスをセンサーでチェックする。「心の洗濯」も目指すのだという
▲まるで、人間洗濯機で浄化されたと言わんばかりではないか。自民党の派閥裏金問題を受けて先月の衆院選で無所属で立候補、当選した萩生田光一政調会長ら4氏が、早くも衆院で自民会派入りをするという
自民党を離党したり、非公認で出馬したりした裏金関係の候補が当選した際に党が追加公認するかは、かねて注目されていた。石破茂首相は当初、選挙を「みそぎ」として容認する姿勢だった。だが、衆院選自民党が惨敗し、さすがに世論を気にしたのか「国民の理解を基準に判断する」と慎重姿勢に転じていた
▲ところが、国会の会派入りは認めるという。表立って公認などはしないが、与党の議席が足りないから共同歩調を取ってほしいというのは、中途半端なご都合主義に見える
自民党も萩生田氏らも本当に「洗濯」を済ませたいというのなら裏金問題の再調査や国会での説明、何よりも「政治とカネ」の制度改革が先だろう。さもないと、政治が有権者から洗濯され続けることになる。