マイナ保険証を使うと医療費が安くなるの? 支払う保険料は同じなのになぜ?【Q&Aで解説】(2024年10月14日『東京新聞』)

 
<シリーズ 教えて!マイナ保険証>
マイナ保険証か、現行の健康保険証か、どちらを使うかで医療費が異なります。また、受診する病院のマイナ保険証の利用率によっても医療費は変わってきます。
私たちの負担額はどうなるのか。ポイントを解説します。(マイナ保険証取材班)
医療費の明細書に記載された「医療情報取得加算」や「医療DX推進体制整備加算」

医療費の明細書に記載された「医療情報取得加算」や「医療DX推進体制整備加算」

◆初診の追加負担で6円の違い

Q 現行の保険証を使うと医療費が高くなると聞きましたが、本当ですか。
A マイナ保険証を使ったときより高くなります。初診の場合、医療費が3割負担の患者なら初診料873円に加え、マイナ保険証を使えば3円かかります。それに対して、現行の保険証を使えば、追加の負担額は9円になります。
Q なぜ患者は追加負担を求められるのですか。
A 医療のデジタル化を推進するためです。オンラインで患者の情報を取得した病院や薬局には、見返りとして診療報酬を上乗せしています。「医療情報取得加算」という制度です。医療機関が受け取る報酬が増えた影響で、患者の負担が増えます。

厚労省「マイナの方が医師らの手間減る」

Q 同じ保険料を払っているのに、なぜマイナ保険証を使ったほうが医療費が安いのでしょうか。
A 厚生労働省は「マイナ保険証を使えば、患者に聞かなくても過去の治療歴や処方歴を把握できるため、医師らの手間が減る」と説明しています。つまり、現行の保険証のほうが医療機関側の業務が増える分、診療報酬を手厚くするという論理です。
Q 現行の保険証が廃止される12月以降、医療情報取得加算はどうなりますか。
A マイナ保険証の利用有無にかかわらず、患者が窓口で払う医療費に一律3円の加算となります。厚労省は「12月以降は、基本的にマイナ保険証を診療に活用する仕組みとなるため」と説明しています。

◆受診した病院の利用率でも変わる

Q 別の加算制度もあると聞きました。
A 「医療DX推進体制整備加算」です。病院や薬局に対し、医療のデジタル化に向けた施設整備を促すための加算です。6月から適用されました。
10月からは病院や薬局のマイナ保険証の利用率に応じて、病院や薬局が受け取る診療報酬の加算額が変わりました。マイナ保険証の利用率が高いほど、病院や薬局の報酬は増えますが、患者の負担は増えることになります。
Q 10月から患者の負担額はどうなりましたか。
A 病院、歯科、薬局で異なります。例えば、病院だと、マイナ保険証の利用率が15%以上の病院を利用した場合、3割負担の患者なら33円、10%以上は30円、5%以上は24円が、それぞれ上乗せされます。
Q 医療DX推進体制整備加算は、マイナ保険証利用の有無で負担額は変わりますか。
A 変わりません。患者がマイナ保険証を利用したかどうかに関わらず、受診した医療機関ごとの利用率によって変わります。
   ◇
東京新聞ではマイナ保険証に関する情報やご意見を募集しています。メールはtdigital@chunichi.co.jp、郵便は〒100-8505(住所不要)東京新聞デジタル編集部「マイナ保険証取材班」へ。