丸川氏&萩生田氏、ピンチ 石破首相が裏金議員の一部を非公認へ 衆院選対応一転 比例代表への重複認めず(2024年10月7日『スポニチアネックス』) 

 石破茂首相は6日、自民党派閥裏金事件を受けた衆院選対応を表明した。政治資金収支報告書に不記載があった裏金議員を公認した上で、比例代表への重複立候補は認めない。40人程度に上る見通しだ。非公認の対象は、4月の党処分で「選挙での非公認」より軽い処分の一部議員にも広げた。
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【図表】誰が非公認…裏金議員への公認問題対応
 当初は裏金議員について、原則公認し、重複立候補も原則容認する方向だったが、世論の逆風を踏まえて厳しい基準とした。首相は記者団に「国民の不信や怒りにきちんと対応することが必要だ」と強調。自身と党四役についても重複立候補はしないと明言した。
 この日、森山裕幹事長、小泉進次郎選対委員長と党本部で協議。その後、記者団に方針を説明した。それによると(1)「選挙非公認」より重い処分の者を非公認。党員資格停止1年の下村博文西村康稔両氏と同6カ月の高木毅氏が対象。(2)「選挙非公認」より軽い処分でも、現時点で処分が継続している議員は、国会の政治倫理審査会で説明責任を果たしていなければ非公認。萩生田光一平沢勝栄両氏らが対象。(3)戒告処分の議員でも、説明責任を十分に果たしていないと判断された場合は非公認となる。
 萩生田氏は当選6回。2009年衆院選で落選したものの、その後は4回続けて圧勝。しかし、7月の東京都議補選は裏金事件の直撃を受け、「萩生田帝国」と言われる八王子市選挙区で自民候補が惨敗。一方、13年の参院選直前、安倍晋三首相(当時)が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の会長らと面談した場に同席したと報じられ、教団問題も再燃。立憲民主党は東京24区に教団を追及してきた有田芳生参院議員を擁立。バッジを失う危機と言えそうだ。
 東京7区から鞍替え出馬する丸川珠代参院議員も重複立候補NGで厳しい状況。当選3回で直近2回はトップ当選。しかし、都内全域が選挙区で自民支持団体の票が見込まれる参院選と違い、小選挙区で鍵となるのは地元での浸透度。選挙区支部長への選任方針が発表されたのは昨年4月で、態勢には不安が残る。逆風は都心ほど強く、知名度で勝てるほど甘くはない。
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 衆院選へ大勝負に出た首相。だが、党内の分断は必至だ。非公認となれば、テレビの政見放送でアピールできないなど厳しい選挙戦は避けられない。安倍派からは「一方的な悪者扱いで許せない」など怨嗟(えんさ)の声が相次いだ。
 萩生田氏は今月1日、インターネット番組で高市早苗前経済安全保障担当相に「幹事長をお願いすべきだった」と首相を批判した。衆院選の結果次第で、高市氏らを中心とした倒閣運動が一気に広がりそうだ。
 ≪非公認・高木氏「反省しながら」≫自民党の高木毅元国対委員長衆院福井2区)は6日、派閥裏金事件を受け、衆院選で自身を非公認とする党の方針に関し「大変厳しい判断をいただいた。謙虚に受け止め、反省しながら頑張っていきたい」と述べた。福井県敦賀市で記者団の取材に答えた。非公認でも出馬する意向を示し、政治資金収支報告書への不記載について「一定の説明責任は果たされたのではないかと思っているが、まだ足りないという声があるならば、引き続き(説明)していく必要があるだろう」と語った。
 ≪立民野田代表 裏金議員の公認「理解得られず」≫立憲民主党野田佳彦代表は、裏金議員に対する自民党衆院選対応を批判した。「裏金議員のほとんどが公認される仕組みだ。国民の理解を得るなど全然できない」と記者団に述べた。公認する場合に重複立候補を認めない方針に対しては「党が公認料を払い、脱税の疑いがある人にお墨付きを与えることになる」と問題視した。国会の政治倫理審査会で弁明したかどうかで線引きした点も取り上げ「本来なら予算委員会で証人喚問しなければならない。説明責任を果たしたと見なして良いのか」と疑問を投げかけた。