挙党態勢とは無縁の「お友達内閣」 自民党内から石破首相に不満の声衆院選前に揺らぐ結束(2024年10月2日『産経新聞』)

閣議を終え、石破茂首相(前列中央)と記念撮影に臨む新閣僚ら=1日午後、首相官邸(鴨川一也撮影)

2日に本格始動した石破茂内閣を巡って、自民党内で不協和音が生じている。新閣僚に先の総裁選で首相を支えた推薦人や、自らに近い「国防族」が目立つ一方、40代以下の若手の起用は皆無で、女性閣僚も2人にとどまったからだ。衆院選を目前に党の結束は早くも揺らぎつつある。

「所管内容の状況や本人の手腕、経験を踏まえて首相が起用したものだ」

林芳正官房長官は2日の記者会見で、新内閣の人選の経緯をこう説明した。

だが、首相の「お友達偏重」は隠しようがない。村上誠一郎総務相岩屋毅外相、最側近の赤沢亮正経済再生担当相ら計6人はいずれも総裁選で首相の推薦人を務めた。岩屋氏や中谷元防衛相ら首相と同じ国防族の起用も目立つ。

特に波紋を呼んでいるのが、安倍晋三元首相の死後に安倍氏を「国賊」と呼び、役職停止1年の処分を受けた村上氏だ。2日の会見では「遺族に謝罪した。もう終わったものと考えている」と火消しに走ったが、党内では「(安倍長期政権下で)『冷や飯』を食べる期間が長すぎて怨念のようなものを感じる」(旧安倍派の中堅議員)と首相への不信感を招いている。

「若手抜擢する気ない」指摘も

衆院選の目玉となる若手や女性閣僚を積極的に登用しようとした形跡もない。直近の第2次岸田文雄改造内閣には40代が2人いたが石破内閣はゼロ。先の総裁選で小泉進次郎選対委員長を支援した中堅議員は「普通ならば総裁選で戦った(49歳の)小林鷹之元経済安全保障担当相を閣僚に起用する。人事を見て若手を抜擢する気がないことがよく分かった」と突き放す。

直近の内閣で5人いた女性閣僚も2人に減少した。そのうちの一人の三原じゅん子こども政策担当相は2日の記者会見で、「適材適所の結果と受け止めている」と述べるにとどめた。

岸田前首相は不記載事件で後退した党勢回復に向けて今回の組閣で「ドリームチーム」の誕生を望んだ。しかし、挙党態勢とは程遠い陣容に党内では「まったくドリームチームじゃない」(別の中堅議員)といった声が大勢だ。(永原慎吾、竹之内秀介)

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