自民党臨時総務会に出席する(左から)石破茂総裁、森山裕幹事長、麻生太郎最高顧問=9月30日午後、党本部(春名中撮影)

自民党石破茂総裁率いる党執行部人事が了承された9月30日の臨時総務会で、最高顧問に就任した麻生太郎前副総裁が集合写真の撮影を辞する場面があった。15年前の首相時、石破氏に退陣を迫られた経緯がある麻生氏。両者の間の溝の深さが早くも露呈したとの見方のほか、慣例上麻生氏が身を引いたとの指摘もある。

「新たに最高顧問を創設した。麻生太郎くんをお迎えしたい」

石破氏は総務会で、手元の紙に目を落としながら、こう述べた。

最高顧問は常設の役職ではなく、平成6年に退任した中曽根康弘元首相以来となるという。党則によれば、「顧問は総裁又は党執行機関の諮問に応じて意見を述べる」とされ、名誉職の色が強い。

麻生氏も「石破総裁のもと、最高顧問という役職を拝命することになりました。全力を挙げて邁進(まいしん)させていただきます」などと応じた。険しい表情は崩さなかった。

会合が終わると、新執行部での写真撮影が急遽求められたが、席を立った麻生氏は石破氏に向かい、一礼。引き留める声が飛ぶ中、会議室の出口に向かった。

先の総裁選で、麻生氏は石破氏に敗れた高市早苗経済安全保障担当相を支援した。平成21年には麻生内閣の支持率が低下する中、当時農林水産相だった石破氏が麻生氏に退陣を促すなど遺恨が残ったとされる。

会場を後にしようとする麻生氏に対し、石破氏は深々と頭を下げていた。その後は「グータッチ」のポーズを求めるカメラマンに対し、「グータッチ。最近はグータッチなのか」と言いながら、執行部のメンバーらと撮影に応じた。