しかし、首相は2日、バイデン米大統領と電話会談した際、協定改定には言及しなかった。3日のエマニュエル駐日米大使との面会でも、議題になったとは伝わってこない。
改定実現に向けた好機であるにもかかわらず、提起すらしないのは理解に苦しむ。長年訴えてきた持論を就任早々棚上げするなら、米軍施設を抱える自治体や住民の期待を裏切ることになる。
米側には、容疑を否認すれば勾留が続く「人質司法」や死刑制度など日本の司法制度の後進性への懸念があり、改定の障壁にもなっている。首相は司法の在り方も含めて検討し、改定の具体的な道筋を引き続き探るよう求める。
首相は安保条約改定に言及し、自衛隊の訓練基地を米国内に置くべきだとも主張する。日本は米国防衛の義務は負わないと説明するが、米側には理解されまい。
米国との核共有や核持ち込みは日本が国是としてきた非核三原則を覆す。断じて認められない。