石破総理大臣は、就任後初めての所信表明演説を行い、国民の納得と共感を得られる政治を実践すると強調するとともに、安心安全で豊かな日本を再構築するとして、地方創生のための交付金の倍増や、専任の大臣を置く防災庁の設置などに取り組む考えを示しました。
臨時国会の審議日程をめぐり、自民党と立憲民主党の国会対策委員長が会談し、会期末の9日に党首討論を行うことで大筋で合意しました。一方、立憲民主党は、通常よりも討論時間を延長するよう求め、引き続き協議することになりました。
10月4日の国政の動きをまとめて、お伝えしています。
目次
《所信表明演説》 野党・与党の反応は
石破首相 所信表明演説
自民・立民 参院国対委員長 “党首討論の延長”を協議
14:00
- 注目
《石破首相 初の所信表明演説》
「安全安心で豊かな日本を再構築」
【詳しくはこちら】政治資金 不記載議員の公認 石破首相「何も決まっていない」
外交・安全保障では、ロシアのウクライナ侵攻に中東情勢なども相まって国際社会は分断と対立が進んでいると指摘し、日米同盟を基軸に友好国や同志国を増やし、日本の平和と地域の安定を実現するとしています。
日韓関係では来年の国交正常化60周年も見据え、協力をさらに堅固で幅広いものとするとしています。
中国については、あらゆるレベルで意思疎通を重ねるとした一方、東シナ海などでの力による一方的な現状変更の試みを強化していることに触れ、主張すべきは主張し、共通の諸課題では協力する「建設的かつ安定的な関係」を双方の努力で築いていく考えを示しました。
ウクライナ情勢をめぐってはロシアへの制裁とウクライナ支援は今後も強力に推進するとした上で、ロシアとの関係は領土問題を解決して平和条約を締結する方針を堅持するとしています。
“北朝鮮による拉致問題は最重要課題”
“物価上昇上回る賃上げを定着 「投資大国」へ”
“人口減少「静かな有事」”
“人命最優先の体制を作る 防災庁の設置へ準備進める”
防災分野では、世界有数の災害発生国の日本で人命最優先の体制を作るとして、内閣府の防災担当の予算や人員を抜本的に強化した上で、専任の大臣を置く防災庁の設置に向けた準備を進めていく考えを示しました。
その上で「災害関連死ゼロ」を実現するため、避難所のあり方を見直すとともに、発災後、速やかにトイレやキッチンカー、それにベッド・風呂を配備できる官民連携体制を平時から整えるとしています。
“能登地方の復旧・復興に向けた取り組み加速”
さらに地震と大雨による被害を受けた石川県の能登地方の復旧・復興に向けた取り組みを加速していく考えも示しました。
社会保障をめぐっては、多様な人生の選択肢を実現できる柔軟な制度設計を行うことや、社会のあらゆる組織の意思決定に女性が参画することを官民の目標として計画的に取り組むこと、それに男女間の賃金格差の是正に向けて、国民的議論を主導して制度改革を進めていく方針を示しました。
このほかエネルギー政策では、AIの普及による電力需要の激増も踏まえ、脱炭素化を進めつつエネルギー自給率も高めるため、安全を大前提として原発を利活用すると説明しました。
憲法改正をめぐっては、総理大臣在任中に発議を実現すべく、国民的な議論が深まることを期待したいと述べました。
「日本の未来を守り抜く決意」
13:00
第214臨時国会が開会
第214臨時国会は4日、参議院本会議場で天皇陛下をお迎えして、開会式が行われました。開会式は、午後1時から参議院本会議場で行われました。
はじめに衆参両院を代表して額賀衆議院議長が「わが国をめぐる内外の諸情勢は、依然として厳しいものがある。内政、外交のそれぞれにおいて必要かつ適切な施策を講じ、国民生活の安定向上を図るとともに、世界平和の確立にいっそう大きな役割を果たしていかなければならない」と述べました。
このあと、天皇陛下が「全国民を代表する皆さんと一堂に会することは、私の深く喜びとするところであります。国会が、当面する内外の諸問題に対処するにあたり、国権の最高機関としてその使命を十分に果たし、国民の信託に応えることを切に希望します」と、おことばを述べられました。
自民・立民 参院での代表質問 8日で合意
野党4党の国対委員長 予算委員会 引き続き開催要求で一致
自民・立民 党首討論 9日で大筋合意
臨時国会の審議日程をめぐり、自民党は、4日の石破総理大臣による所信表明演説や、これを受けた週明けの各党の代表質問を経て、会期末の9日に党首討論を行うことを提案していますが、野党側は、すべての閣僚が出席する予算委員会を開いて十分な審議時間を確保するよう求めてきています。
こうした中、自民党の坂本国会対策委員長と、立憲民主党の笠国会対策委員長は4日国会内で会談して改めて対応を協議しました。そして笠氏は、十分な討論の時間が確保されることを前提に、自民党側の提案を受け入れ、9日に党首討論を開催することで大筋で合意しました。
一方、笠氏は、通常よりも討論時間を延長するよう求め、具体的な時間を協議することになりました。野党側は、引き続き予算委員会の開催も求めていく方針です。
自民 坂本国対委員長「党首討論 1時間が区切りの時間」
立民 笠国対委員長「ふさわしい時間 きちんと確保へ」
立民 野田代表「被災地支援 政治とカネ問題 なぜ議論しない」
石破首相 新たな経済対策指示 衆院選後に補正予算案提出へ
賃上げ実現 地方創生交付金倍増 防災庁の設置準備の考え示す方針
10月9日に衆院解散を表明 15日公示 27日投開票へ
石破総理大臣は、臨時国会の会期末となる9日に衆議院を解散し、15日公示、27日投開票の日程で選挙を行うと表明していて、自民党は、所信表明演説に対する各党の代表質問を来週行った上で9日に党首討論を行いたいと提案しています。
これに対し、野党側は、総理大臣が交代しても自民党の政治とカネの問題は解決したわけではないとして、来週の代表質問で厳しく追及する構えです。
また、党首討論だけでなく、新たに就任した閣僚の資質などをただす必要があるとして、衆参両院で予算委員会を開催し、十分な審議を行うよう求めています。
さらに、石川県能登地方の復旧・復興のための補正予算案の編成や、政治資金収支報告書に不記載があり、まだ弁明していない自民党議員の政治倫理審査会への出席も要求していて、衆議院の解散・総選挙をにらんだ与野党の攻防が激しくなる見通しです。