石破総理大臣は、就任後初めての所信表明演説を行い、国民の納得と共感を得られる政治を実践すると強調するとともに、安心安全で豊かな日本を再構築するとして、地方創生のための交付金の倍増や、専任の大臣を置く防災庁の設置などに取り組む考えを示しました。

臨時国会の審議日程をめぐり、自民党立憲民主党国会対策委員長が会談し、会期末の9日に党首討論を行うことで大筋で合意しました。一方、立憲民主党は、通常よりも討論時間を延長するよう求め、引き続き協議することになりました。

10月4日の国政の動きをまとめて、お伝えしています。

石破首相 所信表明演説NHKプラスで配信中】(配信期限:2024年10月11日 午後2:35 まで)↓↓↓

自民・立民 参院国対委員長党首討論の延長”を協議

自民党の石井参議院国会対策委員長と、立憲民主党の斎藤参議院国会対策委員長が会談し、石井氏は来週9日に党首討論を行う場合、通常よりも討論時間を15分間延長し、1時間にすることを提案しました。

これに対し、斎藤氏はさらなる延長を求め、引き続き、協議することになりました。

14:00

《石破首相 初の所信表明演説

 

 

「安全安心で豊かな日本を再構築」

石破総理大臣は、4日午後、衆参両院の本会議で就任後初めてとなる所信表明演説を行いました。

冒頭、石破総理大臣は「全身全霊をささげ、日本と日本の未来を守り抜く。政治資金問題で失われた政治への信頼を取り戻し、納得と共感をいただきながら安全安心で豊かな日本を再構築する」と述べました。

そして、自民党政治とカネの問題について、収支報告書に不記載があった議員一人一人に反省を求めながら自身も説明責任を果たす考えを示し「さらに透明性を高める努力を最大限行うことを約束する」と強調しました。

外交・安全保障では、ロシアのウクライナ侵攻に中東情勢なども相まって国際社会は分断と対立が進んでいると指摘し、日米同盟を基軸に友好国や同志国を増やし、日本の平和と地域の安定を実現するとしています。

日韓関係では来年の国交正常化60周年も見据え、協力をさらに堅固で幅広いものとするとしています。

中国については、あらゆるレベルで意思疎通を重ねるとした一方、東シナ海などでの力による一方的な現状変更の試みを強化していることに触れ、主張すべきは主張し、共通の諸課題では協力する「建設的かつ安定的な関係」を双方の努力で築いていく考えを示しました。

ウクライナ情勢をめぐってはロシアへの制裁とウクライナ支援は今後も強力に推進するとした上で、ロシアとの関係は領土問題を解決して平和条約を締結する方針を堅持するとしています。

北朝鮮による拉致問題は最重要課題”

また、北朝鮮による拉致問題は、最重要課題だとして、すべての拉致被害者の1日も早い帰国を実現するとしています。

そして、日本は戦後最も厳しく複雑な状況に直面しており、防衛力を抜本的に強化すべきだとして、その基盤となる自衛官の処遇や勤務環境の改善を進めるため、自身をトップとする関係閣僚会議を設置する考えを示しました。

さらに、沖縄の基地負担の軽減や経済強化への支援に引き続き取り組むとしています。

“物価上昇上回る賃上げを定着 「投資大国」へ”

 

経済政策をめぐっては、デフレ脱却を確かなものにし、危機に強じんな経済・財政を作っていくとした上で、物価上昇を上回る賃上げを定着させ、最低賃金2020年代に全国平均で1500円まで引き上げることを目指す考えを示しました。

また、賃上げと投資がけん引する成長型の経済を実現するため、早急に経済対策を策定し、当面の対応として物価高の影響を特に受ける低所得世帯への支援などを進めると説明しました。

さらに、貯蓄から投資への流れを着実なものにし、国民の資産形成を後押しする「資産運用立国」の政策を引き継ぎながら、産業に思い切った投資が行われる「投資大国」に向けた施策を講じていく方針を示しました。

“人口減少「静かな有事」”

一方、人口減少について「国の根幹に関わる課題で『静かな有事』だ」とし、子育て支援のため短時間勤務の活用や勤務間インターバル制度の導入促進など働き方改革を推進する意向を表明しました。

地方創生をめぐっては「地方こそ成長の主役だ」と述べた上で、地方創生の交付金について、当初予算ベースで倍増を目指すなど、国、地方、国民が一丸となって永続的に取り組む機運を高めていく決意を示しました。

“人命最優先の体制を作る 防災庁の設置へ準備進める”

防災分野では、世界有数の災害発生国の日本で人命最優先の体制を作るとして、内閣府の防災担当の予算や人員を抜本的に強化した上で、専任の大臣を置く防災庁の設置に向けた準備を進めていく考えを示しました。

その上で「災害関連死ゼロ」を実現するため、避難所のあり方を見直すとともに、発災後、速やかにトイレやキッチンカー、それにベッド・風呂を配備できる官民連携体制を平時から整えるとしています。

能登地方の復旧・復興に向けた取り組み加速”

さらに地震と大雨による被害を受けた石川県の能登地方の復旧・復興に向けた取り組みを加速していく考えも示しました。

社会保障をめぐっては、多様な人生の選択肢を実現できる柔軟な制度設計を行うことや、社会のあらゆる組織の意思決定に女性が参画することを官民の目標として計画的に取り組むこと、それに男女間の賃金格差の是正に向けて、国民的議論を主導して制度改革を進めていく方針を示しました。

このほかエネルギー政策では、AIの普及による電力需要の激増も踏まえ、脱炭素化を進めつつエネルギー自給率も高めるため、安全を大前提として原発を利活用すると説明しました。

憲法改正をめぐっては、総理大臣在任中に発議を実現すべく、国民的な議論が深まることを期待したいと述べました。

「日本の未来を守り抜く決意」

 

そして最後に石破総理大臣は、議員になる前、渡辺美智雄・元外務大臣の「政治家の仕事は勇気と真心をもって真実を語ることだ」ということばに感銘を受けたエピソードを紹介し「国民の納得と共感を得られる政治を実践することにより、政治に対する信頼を取り戻し、日本の未来を創り、日本の未来を守り抜く決意だ」と結びました。

13:00

第214臨時国会が開会

 

第214臨時国会は4日、参議院本会議場で天皇陛下をお迎えして、開会式が行われました。開会式は、午後1時から参議院本会議場で行われました。

はじめに衆参両院を代表して額賀衆議院議長が「わが国をめぐる内外の諸情勢は、依然として厳しいものがある。内政、外交のそれぞれにおいて必要かつ適切な施策を講じ、国民生活の安定向上を図るとともに、世界平和の確立にいっそう大きな役割を果たしていかなければならない」と述べました。

このあと、天皇陛下が「全国民を代表する皆さんと一堂に会することは、私の深く喜びとするところであります。国会が、当面する内外の諸問題に対処するにあたり、国権の最高機関としてその使命を十分に果たし、国民の信託に応えることを切に希望します」と、おことばを述べられました。

 

自民・立民 参院での代表質問 8日で合意

 

臨時国会の審議日程をめぐり、参議院自民党立憲民主党参議院国会対策委員長が会談し、8日の参議院本会議で、石破総理大臣の所信表明演説に対する各党の代表質問を行うことで合意しました。

自民党の石井参議院国会対策委員長と、立憲民主党の斎藤参議院国会対策委員長が国会内で会談し、今後の審議日程を協議しました。

その結果、4日行われる石破総理大臣の所信表明演説に対する参議院での各党による代表質問を8日の本会議で行うことで合意しました。

衆議院の代表質問は7日に行うことで、与野党がすでに合意しています。

野党4党の国対委員長 予算委員会 引き続き開催要求で一致

 

立憲民主党日本維新の会共産党、国民民主党の野党4党の国会対策委員長らが4日午前、国会内で会談し、いまの臨時国会で与党側が予算委員会を開こうとしないのは極めて遺憾だとして、引き続き開催を要求していくことで一致しました。

また、党首討論を開催する場合は十分な時間の確保を求めていく方針を確認しました。

さらに、旧優生保護法をめぐって、被害者などへの新たな補償を行うための法案を今の国会で成立させるべきだとして、与党側に対応を求めていくことも申し合わせました。

自民・立民 党首討論 9日で大筋合意

 

臨時国会の審議日程をめぐり、自民党は、4日の石破総理大臣による所信表明演説や、これを受けた週明けの各党の代表質問を経て、会期末の9日に党首討論を行うことを提案していますが、野党側は、すべての閣僚が出席する予算委員会を開いて十分な審議時間を確保するよう求めてきています。

こうした中、自民党の坂本国会対策委員長と、立憲民主党の笠国会対策委員長は4日国会内で会談して改めて対応を協議しました。そして笠氏は、十分な討論の時間が確保されることを前提に、自民党側の提案を受け入れ、9日に党首討論を開催することで大筋で合意しました。

一方、笠氏は、通常よりも討論時間を延長するよう求め、具体的な時間を協議することになりました。野党側は、引き続き予算委員会の開催も求めていく方針です。

自民 坂本国対委員長党首討論 1時間が区切りの時間」

 

自民党の坂本国会対策委員長は、会談のあと記者団に対し「これまで党首討論は、審議時間を延ばしたことはなく『1時間ではどうか』と立憲民主党に以前から伝えている。森山幹事長とも話し、1時間が区切りの時間としてよく、各党が考え方を示すとともに、石破総理大臣が答えることは十分にできる」と述べました。

立民 笠国対委員長「ふさわしい時間 きちんと確保へ」

 

立憲民主党の笠国会対策委員長は記者団に対し「本来は予算委員会を開き、新しい閣僚もすべて出席して議論を行った上で国民に信を問うのが筋で猛抗議をしたい。ただ全く何もやらないよりは、党首間で議論することは重要なので、それにふさわしい時間をきちんと確保すべく取り組んでいきたい」と述べました。

立民 野田代表「被災地支援 政治とカネ問題 なぜ議論しない」

 

立憲民主党の野田代表は記者会見で「大雨や地震の被害を受けた石川県能登地方の被災地支援や政治とカネの問題について、なぜ議論をしないのか。また各閣僚に資質があるのかなどもただす必要があり、あくまでわれわれは予算委員会の開催を主張していくが、党首討論の際も、せめて最大限の時間はとるべきだ」と述べました。

石破首相 新たな経済対策指示 衆院選後に補正予算案提出へ

 

石破総理大臣は、物価高対策として低所得世帯向けの給付を行うことや、中堅・中小企業の賃上げの支援などを盛り込んだ新たな経済対策の策定を閣僚に指示し、衆議院選挙のあと速やかに今年度の補正予算案を国会に提出する考えを示しました。

石破総理大臣は4日の閣議で「成長と分配の好循環が力強く回っていく経済を実現しなければならない。賃上げや設備投資などが改善を続けているが、デフレからの脱却を確実なものとすることが必要だ」と述べました。

その上で▽物価高の克服▽地方を含めた経済成長、それに▽国民の安全・安心の3つを柱とする経済対策の策定を閣僚に指示しました。

賃上げ実現 地方創生交付金倍増 防災庁の設置準備の考え示す方針

石破総理大臣は、4日衆参両院の本会議で所信表明演説を行い、物価上昇を上回る賃上げの実現に決意を示すとともに、地方創生のための交付金の倍増を目指す方針を打ち出すほか、防災庁の設置に向けた準備を進める考えも改めて示すことにしています。

また、石破総理大臣は、賃上げと投資がけん引する成長型の経済を実現するため、4日閣僚に経済対策の策定を指示することにしており、当面、物価高対応として、低所得世帯の支援などを進めたい考えです。

10月9日に衆院解散を表明 15日公示 27日投開票へ

石破総理大臣は、臨時国会の会期末となる9日に衆議院を解散し、15日公示、27日投開票の日程で選挙を行うと表明していて、自民党は、所信表明演説に対する各党の代表質問を来週行った上で9日に党首討論を行いたいと提案しています。

これに対し、野党側は、総理大臣が交代しても自民党の政治とカネの問題は解決したわけではないとして、来週の代表質問で厳しく追及する構えです。

また、党首討論だけでなく、新たに就任した閣僚の資質などをただす必要があるとして、衆参両院で予算委員会を開催し、十分な審議を行うよう求めています。

さらに、石川県能登地方の復旧・復興のための補正予算案の編成や、政治資金収支報告書に不記載があり、まだ弁明していない自民党議員の政治倫理審査会への出席も要求していて、衆議院の解散・総選挙をにらんだ与野党の攻防が激しくなる見通しです。

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