袴田巌さん無罪判決 今後の焦点は検察が控訴するか(2024年9月27日『NHKニュース』)

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58年前、静岡県で一家4人が殺害された事件の再審=やり直しの裁判で26日、袴田巌さんに無罪の判決が言い渡されました。判決は3つの証拠がねつ造されたと捜査機関を厳しく批判し、今後、検察が控訴するかどうかが焦点となります。
58年前の1966年に今の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件の再審で26日、静岡地方裁判所袴田巌さんに無罪を言い渡しました。
判決は、有罪の決め手とされてきた「5点の衣類」や袴田さんの自白調書など、あわせて3つの証拠を捜査機関がねつ造したと指摘し、法務・検察の幹部には「厳しい判決だ」という受け止めが広がっています。
袴田巌さん 再審で無罪判決 裁判長“時間かかり申し訳ない”
袴田さんは死刑への恐怖のもと長期間収容された影響で意思疎通が難しくなっていて、88歳と高齢であることから弁護団は審理をこれ以上、長引かせるべきではないとして、26日、判決直後に検察に対して控訴を断念するよう申し入れています。
検察が来月10日の期限までに控訴した場合、高裁で審理が続けられることになりますが、死刑が確定した事件で再審が開かれた過去の4件では、いずれも無罪の判決に対し検察が控訴せず確定しています。
静岡地方検察庁は取材に対し「判決内容を精査し、上級庁と協議した上で判断したい」としていて、今後、検察が控訴するかどうか袴田さんの無罪判決が確定するかどうかが焦点となります。
松村国家公安委員長「コメントは控える」
松村国家公安委員長は27日の閣議後の会見で「無罪判決が言い渡されたことは承知している。今後、検察当局において判決内容を精査し、対応を検討するものと承知しているので、私からのコメントは控える」と述べました。
また、捜査機関が証拠品をねつ造したと指摘されたことについて問われると「ご指摘の点も含め、今後、検察当局において判決内容を精査し、対応を検討するものと承知している」と繰り返し、コメントしませんでした。