日米首脳が会談、岸田・バイデン体制で最後(2024年9月21日『日本経済新聞』)

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岸田首相とバイデン米大統領
【ウィルミントン(デラウェア州)=永富新之丞】岸田文雄首相は21日(日本時間22日未明)、訪問中の米東部デラウェア州のウィルミントンでバイデン米大統領と会談した。退任が決まっている首相とバイデン氏にとって最後の会談で、ともに在任していた3年の総括となる。
首相は21日朝にウィルミントンに近いペンシルベニア州フィラデルフィア政府専用機で到着した。ウィルミントンはバイデン氏の地元であり、会談も同氏の私邸で開いた。バイデン氏による私邸への招待は異例で、親密な関係を構築してきた岸田氏の厚遇をアピールする狙いがあるとみられる。
日米は4月の首脳会談を踏まえて、同盟のさらなる強化に乗り出している。自衛隊在日米軍はそれぞれ新編する「統合作戦司令部」と「統合軍司令部」を軸に、部隊間の指揮統制の連携を深めていく方針だ。ミサイルなどの防衛装備品の共同開発・生産を巡る議論も加速している。
会談ではこうした同盟強化の路線を次期政権に引き継いでいく方針を話し合うとみられる。
経済面でも脱炭素に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)や半導体サプライチェーン(供給網)で今後も協力していくことを改めて確かめるもようだ。
首相はバイデン氏との会談後、日米豪印4カ国の枠組み「Quad(クアッド)」の首脳会議に臨む。首相は21日午前、日本出発前に公邸で記者団に「日米豪印の協力を一層深化させ、地域の安定、安全、繁栄の確保につなげたい」と語った。
太平洋の島しょ国などでの通信の安全性を高める取り組みを打ち出す。高速通信規格「5G」の基地局整備にかかわる人材育成の強化も狙う。国際保健や海洋安全保障、防災についても協議する見通しだ。
首相はクアッドの後、ニューヨークに移動し2030年までの達成が危ぶまれるSDGs(持続可能な開発目標)の立て直しや国連改革を議論する「未来サミット」に出席する。核兵器核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)のフレンズ(友好国)会合を主催する。