岸田首相が9月に予定される党総裁選に不出馬を表明したことを受け、日米関係の強化や日韓関係の改善に貢献したとして、米韓の政府関係者らからは功績をたたえ、退陣を惜しむ声が上がった。
米国のラーム・エマニュエル駐日大使は声明で「首相の揺るぎないリーダーシップの下、日米両国は同盟関係の新時代を切りひらいた」と評価。インド太平洋地域の安全保障強化のため、バイデン米大統領と協力して日米韓、日米豪、日米豪印(クアッド)など「格子状」の多国間連携を推進した首相を「米国の真の友人」と呼んだ。米政府高官は本紙に「自民党が政権を握っている限り、日本の外交が劇的に変わることはないというのが米政府の一般的な見方だ」と指摘した。
また、韓国政府関係者は本紙に「
岸田、尹両氏は「元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)」訴訟問題などで悪化していた日韓関係の正常化で一致した。日韓は来年、1965年の国交正常化から60周年の節目を迎える。尹氏は関係改善の流れが続くよう、次期首相との関係構築を目指すとみられる。
一方、中国外務省は14日、「日本の内政であり、中国はコメントしない」と本紙の取材に答えた。今後の日中関係については「両国の『戦略的互恵関係』を推し進め、新しい時代の要請にふさわしい建設的で安定した中日関係を構築したい」と期待した。(ワシントン 淵上隆悠、ソウル 中川孝之、北京 川瀬大介)