高市早苗氏
自民党支持の保守層にとって「安倍家」のブランドは格別の意味を持つ。故・安倍晋三元首相が前回の自民党総裁選で支持したのは高市早苗経済安保相(63)。だが今回、安倍ファミリーが支援に回るのは小林鷹之前経済安保相(49)だった。
サナエあれば、憂いなし。今月9日、そんなキャッチコピーを掲げて高市氏が総裁選の出馬会見に臨んだ。
高市氏はその場で、
「安倍氏が提唱した“自由で開かれたインド太平洋”に、米国を強く関与させ続けることが日本の責任だ」
などと述べ、自身が安倍氏の正統な後継者だと強く訴えてみせた。
政治部デスクが言う。
でも、と続けて、
「それは安倍氏が森喜朗元首相に高市支援を懇願されたからです。安倍氏は森氏に“今回一度きり”という約束のうえ、自派の票を回したに過ぎません。そもそも当時の安倍派内は、彼女が前身の町村派を脱会したことを面白く思っていない議員ばかりでした」
“安倍後継”をアピールした小林氏
だから今回、高市氏が推薦人集めに苦労したのも必然の成り行き。
「なにより、前回は高市氏の推薦人に名を連ねた小林氏その人が、誰より先に自ら出馬に名乗りを上げてしまったのが痛かった。実際、8月19日の小林氏の出馬会見には、旧安倍派から福田達夫元総務会長ら11名もの中堅・若手が参加しています」(同)
いわば安倍家の地元関係者が総出でもてなした格好だ。これによって小林氏は“安倍後継”であることのアピールに、相当程度成功したと評されている。