今回の総裁選は、同じ派閥から複数が立候補したことが大きな特徴だ。既に解散した岸田派から林芳正官房長官と上川陽子外相が、解散方針を決めた茂木派からは茂木敏充幹事長と加藤勝信元官房長官が出馬した。過去にも同一派閥から複数が立ったことはあるが、派閥が分裂含みになるため、避ける傾向が強かった。
派閥の解散方針によって議員の動きが流動化したことは、派閥横断的な推薦人集めにつながった。ある候補は「なるべく出身派閥以外の推薦人が増えることを意識した」と打ち明けた。一方で、出身派閥中心に推薦人を集めた候補もおり、派閥の影響は残っている。
首相の不出馬も大量出馬につながった。現職首相が再選を目指す場合、支える立場の閣僚や党幹部は「裏切り者」との批判を恐れ、立候補を控えがちだ。退陣を表明した首相が閣僚に「気兼ねなく論戦を」と伝えたことで、名乗りを上げやすい環境となった。(長崎高大)