兵庫知事、辞職を改めて否定 「県政を前に進めていきたい」(2024年8月30日『毎日新聞』)

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兵庫県議会の百条委員会に出頭するにあたり、報道陣の取材に応じる兵庫県の斎藤元彦知事=神戸市中央区の県庁で2024年8月30日午前10時、山田麻未撮影
 兵庫県の斎藤元彦知事は30日、職員へのパワーハラスメントを含む多数の疑惑を文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委)の証人尋問に初めて出頭し、疑惑に対する自身の見解を説明した。
 斎藤氏は約2時間半に及ぶ証人尋問を終えた後、報道陣の取材に応じた。「改めて職員に対し、不快に思われた方がいればおわびしたい」としたうえで、自身の言動がパワハラに当たるかどうかについて「百条委などが作業することになる」と明言を避けた。
 報道陣から進退について問われると、斎藤氏は「反省すべき点を受け止め、県政を前に進めてきたい」と述べ、改めて辞職を否定した。
 斎藤氏はこの日の尋問で、職員から厳しい叱責などの指摘が相次いでいることについて「改革・刷新をしたいという思いの中で仕事をやってきたが、言い過ぎた面もあったかもしれない。反省して襟を正していきたい」と説明した。
 その一方、疑惑を告発した元県西播磨県民局長の男性(7月に死亡)を懲戒処分にしたことについて「適切だと思っている」と語った。
 一連の問題を巡っては、元局長が3月、斎藤氏のパワハラを含む多数の疑惑を告発する文書を一部の報道機関や県議に配布したことで発覚した。
 元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は調査結果を待たずに内部調査を進めた結果、「知事らを誹謗(ひぼう)中傷した」と認定し、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。元局長は7月、県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。自殺とみられる。【戸田紗友莉】

兵庫知事、告発の元局長の懲戒処分は「適切」 「なぜこんな文書を」(2024年8月30日『毎日新聞
 
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兵庫県議会調査特別委員会の冒頭で宣誓をする斎藤元彦知事(手前中央)=神戸市中央区で2024年8月30日午後3時2分、大西岳彦撮影
 兵庫県の斎藤元彦知事は30日、職員へのパワーハラスメントを含む多数の疑惑を文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委)の証人尋問に初めて出頭した。斎藤氏は疑惑を告発した県西播磨県民局長だった男性(60)を懲戒処分にしたことについて「適切だと思っている」と述べた。
 一連の問題を巡っては、元局長が3月、斎藤氏のパワハラを含む多数の疑惑を告発する文書を一部の報道機関や県議に配布したことで発覚した。
 元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じた公益通報者保護法の対象外と判断。内部調査を進めた結果、「知事らを誹謗(ひぼう)中傷した」と認定し、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。元局長は7月、県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。自殺とみられる。
 斎藤氏は告発文書について「事実でないことが多く含まれ、誹謗中傷性が高いものだと判断して調査した」と説明。最初に文書を見たことを振り返り、「なんでこんな文書を作るのかと苦しい思いがあった」と語った。
 斎藤氏はこれまで一貫して告発内容を否定しているが、百条委が実施した県職員アンケートの中間報告では約4割が「知事のパワハラを見聞きした」と回答した。
 23日に実施された県職員6人への証人尋問でも複数の職員が知事から厳しく叱責されたり、その場面を目撃したりしたという証言が相次いだ。「業務上の指導の範囲内だった」とした定例記者会見での知事発言について、「開き直っているような会見で腹立たしい」と述べた職員もいたことが明らかになっている。【芝村侑美、高木香奈】

「記憶にない」と繰り返す百条委の斎藤知事「全て覚えているほど全能ではない」(2024年8月30日『産経新聞』)
 
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百条委員会の証人尋問のため会場に入り、証人席で一礼する斎藤元彦兵庫県知事=30日、神戸市中央区兵庫県庁(南雲都撮影)
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、斎藤氏本人への証人尋問が行われた。県職員による斎藤氏への事業説明で、自身が把握していない事業が話題になった際、職員を叱責したとされる件について「記憶にない」との答弁を繰り返した。
百条委の委員は、空飛ぶクルマ関連の事業が新聞で報じられた後に知事室を訪れた担当者を「何これ、聞いてない」「空クル(空飛ぶクルマ)は知事直轄、勝手にやるな」と叱責したとの疑惑を追及した。
叱責したかとの質問に斎藤氏は「記憶にない」と否定。「いろんなレク(説明)を受けていて、一つ一つ覚えていない。『聞いていない』ということから、私は合理性があると思う」と答えた。
一方で「私も完璧な人間ではない。一回聞いたことを全て覚えているほど全能ではない。大量の資料の内容は失念することがあり、聞いていないと言ってしまうことはある。そこは注意しないといけない」とも主張。委員は「知事に完璧な人間を求めているのではない」と指摘し、やり取りがかみ合わない場面もみられた。
空飛ぶクルマ事業を巡る叱責については、斎藤氏の尋問に先立ち、30日午前に県職員の証人尋問が行われ、職員は当時を振り返り、「これほどきつい言葉を上司からかけられたことは、県職員になってからなかった」と証言している。

斎藤知事、深夜チャットダメ出しで職員は即謝罪 「異常だ」と驚く百条委委員(2024年8月30日『産経新聞』)
 
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兵庫県百条委員会 百条委員会の証人尋問に出席し、宣誓する斎藤元彦兵庫県知事=30日、神戸市中央区兵庫県庁(南雲都撮影)
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラ疑惑などを文書で告発された問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)が30日開かれ、斎藤氏本人への証人尋問が行われた。委員らはチャットの履歴をもとに、斎藤氏が深夜に職員らに〝ダメ出し〟を繰り返し、職員らが即座に謝罪するなどしていたとして「異常だ」と非難。斎藤氏は「改める」などと述べたが、知事の叱責を恐れて対応に追われる職員たちの姿が浮かび上がった。
百条委の委員は昨年夏、斎藤氏が電子商品券「はばタンPay+」を周知するために作成した広報用うちわに自身の顔写真や文言を掲載するようにチャットで指示した時間が、午後9時20分ごろだったと指摘。その後、午後11時過ぎまでやりとりが続いており、「翌日の朝、関係者を集めれば30分で決まる内容だった」と指摘した。
これに対し、斎藤氏は、チャットのメンバーは「勝手知ったる仲」だとし、「事業について早めに伝えた方がいいと思った」と弁解した。
また、別の日の午後11時ごろには、米のバーニー・サンダース上院議員(82)の政策について分析を依頼する内容のチャットを投稿。翌朝午前6時に職員から「承知しました」と返答があり、百条委の委員は「異常だと思う」と非難した。
このほか、兵庫県立美術館の休館や、別のイベントの開催日程についての報告がなかったとして午前0時過ぎに職員を追及する投稿を送るなど、斎藤氏による深夜の〝ダメだし〟が常態化していたと強調。斎藤氏は「負担を感じていた職員がいるならおわびしたい」と陳謝した。
日常的に業務負担が増えるやりとりが繰り返されていたとの指摘に対し、斎藤氏は「チャットは電話と異なり、見たときに反応できる。知事としてのアウトプットの出し方だった。伝え方ややり方がよくなかったのなら改めていく」と淡々と述べた。
また百条委の委員は、複数の職員が参加するグループチャットの中で、特定の職員をやり玉に挙げて非難する投稿があったことに言及。委員が「職員と知事との関係悪化の要因となり、職員にも広まってしまう。自分で自分の首を絞めている」と苦言を呈する場面もあった。

兵庫 斎藤知事 百条委で証人尋問 “必要な指導”繰り返す(2024年8月30日『NHKニュース』)
 
兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、30日、県議会の百条委員会で知事への証人尋問が行われ、斎藤知事は告発文書などで指摘された言動について、必要な指導だったという認識を重ねて示した上で、「不快に思った人がいれば心からおわびしたい」などと述べました。
尋問は、2時間半にわたって、告発文書や県庁職員へのアンケートなどに記載されていた知事のパワハラの疑いを中心に質疑が行われました。
この中で斎藤知事は、委員から「出張先で玄関の20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされ、出迎えた職員らをどなり散らした」という記載が事実か問われたのに対し、「歩かされたことを怒ったのではなく、円滑な車の進入経路を確保していなかったことを注意した」などと説明しました。
また、「夜間、休日など時間おかまいなしの指示が矢のようにやってくる」という記載については「案件によっては遅い時間や休日に連絡したことはある。知事として報告、連絡、相談をしっかりしてほしいという思いが強かった」と述べました。
その上で、「必要な指導だと思っていたが、不快に思った人がいれば、心からおわびしたい。パワハラかどうかは私が判定するというより、百条委員会などが判定するものだ」と述べました。
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さらに、告発文書を作成した元局長を懲戒処分としたことについては、「事実ではないことが多く含まれ、ひぼう中傷性の高い文書だと県として認識したので、調査をして処分した」として、適切だったという認識を重ねて示しました。
一方、30日は知事の尋問に先立って県職員ら4人の証人尋問も行われ、この中では、「知事から非常に強い調子で叱責された。社会通念上必要な指導の範囲とは思わない」などといった証言が出されました。
委員会では、来週6日にも知事に出席を求めて証人尋問を行い、出張先で贈答品を受け取った疑いになどについて質疑を行うことにしています。
【斎藤知事の発言】
「襟をただしていきたい」
斎藤知事は県庁職員へのアンケートで指摘されたみずからの言動について「想定以上に、ぽろっと言ったことがどんどん伝わっていくところがすごくあると思った。言いすぎたという面があったと思うので、ちゃんと反省して、これから襟をただしていきたい」と述べました。
「仕事は厳しくするのが私のスタイル」
斎藤知事は職員からどのような評価をされていると考えるか問われたのに対し、「厳しい上司だと思われていると思う。仕事は厳しくするというのが私のこれまでのスタイルなので職員にどう思われているかは、いろいろあると思う」と述べました。
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「元局長の処分は適切」
斎藤知事は告発文書を作成し、公益通報した元局長を懲戒処分としたことについて、「処分は適切だったと思う。事実ではないことが多く含まれ、ひぼう中傷性の高い文書だと県として認識したので、調査をして処分した」と述べました。
「遅い時間や休日に連絡したことはある」
斎藤知事は「夜間、休日など時間おかまいなしの指示が矢のようにやってくる」などという告発文書の記載が事実か問われたのに対し、「案件によっては遅い時間や休日に連絡したことはある。主に、私への報告漏れや相談がなかったものについての指摘が多かったと思う。知事として報告、連絡、相談をしっかりしてほしいという思いが強かった。ただ、休日や深夜に連絡をしたのは適切ではなかった面もあるかもしれない」と述べました。
「記憶にない 1つひとつ覚えていないこともある 」
斎藤知事は「自分が知らないことがテレビで取り上げられ、評判になったら『聞いていない』と担当者を呼んで執ように責めたてる」という告発文書の記載が事実か問われたのに対し、「記憶にない。なんらかの指摘をしたとしても、いろいろなレクを受けているので、1つひとつ覚えていないこともある」と述べました。
「当時の判断は適切」
斎藤知事は「出張先で玄関の20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされ、出迎えた職員らをどなり散らした」という告発文書の記載が事実か問われたのに対し、「歩かされたことを怒ったのではなく、円滑な車の進入経路を確保していなかったことについて注意した。当時は車の進入禁止のエリアだと認識しておらず、当時の判断としては適切だったと思っている」と答えました。
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維新の対応は
3年前の選挙で、斎藤知事を推薦した日本維新の会は、31日、藤田幹事長が神戸市で、党の兵庫県の地方組織や県議団の幹部と会談し、30日の斎藤知事の発言を受けた今後の対応を協議することにしています。

兵庫県の斎藤元彦知事、パワハラ体質問われ「過去取り戻せない」「もっといい知事に」…百条委員会の証人尋問(2024年8月30日『読売新聞』)
 
 兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題で、県議会の百条委員会は30日、斎藤知事の証人尋問を始めた。
 前県西播磨県民局長の男性職員(7月に死亡)が3月に報道機関などに送付した告発文書では、「出張先で公用車を降り、20メートル歩かされただけで職員をどなり散らした」などの疑惑が記されていた。
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百条委員会の会場に入る斎藤兵庫県知事(30日午後3時1分、兵庫県庁で)=八木良樹撮影
職員に「大きい声で強く指摘」…過大要求は否定[
 斎藤知事はこの日の証人尋問で、出張先の施設玄関で待機していた職員2人に「車止めをなぜのけておかなかったのか。外すのを失念していたのではないかと発言したと記憶している」と説明。その上で、「大きい声で、それなりに強く指摘したと思う」と述べた。一方、職員への過大な要求に当たるのではないかとの議員の指摘に対しては、「過大な要求というよりも、合理的な指摘だったと認識している」と説明した。
内部告発者の懲戒処分「適切」「誹謗中傷性高い」
 男性職員を停職3か月の懲戒処分としたことについて、今は不適切だと思うかとの質問について、斎藤知事は「(男性職員が作成したのは)事実でないことが多く含まれる 誹謗ひぼう 中傷性の高い文書だと認識し、調査をして処分させていただいた。その処分は適切だと思っている」と述べた。
「もし不快な思いした職員がいれば謝りたい」
 百条委が実施した県職員へのアンケートに 叱責しっせき など多数の記載があったことについて、斎藤知事は「言い方が厳しかったり、強くなったことは、もし職員の皆さんに不快な思いをさせたということは反省したい。もしそういった方がおられれば謝りたい」と述べた。
休日・深夜の業務チャット「備忘録的に送った面ある」
 職員アンケートなどで、業務チャットに休日、深夜を問わず知事から指示があるとの指摘が寄せられことについて、斉藤知事は「業務上の理由で指摘したという必要性はある」としつつ、「忘れないうちに備忘録的に送ったという面もあるにしても、『レスポンス(返信)は明日でいいです』とか『週明けでいいです』と丁寧に書いておくことは今、考えればすべきだったと思う」と釈明した。
パワハラ体質問われ「過去取り戻せない」「もっといい知事に」
 自身にパワハラ体質があるのではないかとの質問に、斉藤知事は「仕事については厳しくさせていただいている面が正直やっぱりある」と説明。「県政、県民の皆さんにとってもいい仕事をしたいという思いだったが、職員に不快に思わせてしまっているとすればもう過去は取り戻せない」とし、「これからはもっといい知事としてやっていきたいと思っている」と述べた。
就任直後、職員呼び机たたく…「選挙戦直後で緊張感と気が高ぶっていた」
 2021年の就任直後、港の管理計画が新聞に掲載された際、当時の担当職員を知事室に呼んだ際、机をたたいたことがパワハラに該当するのではないかと問われた斉藤知事は、「やった記憶がある。『ちゃんと報告していただかないといけないんじゃないですか』と伝え、思わず机をたたいてしまった」と認めた。理由について、「知事就任直後で、自分が知らないところで、業務が既成事実として進められしまうという不安を強く抱き、選挙戦直後の緊張感と気が高ぶっていたこともあった。行為としては適切ではなく、直接謝罪したい」と述べた。
 午後5時34分頃、証人尋問を終えた斉藤知事は会場を後にした。