自民・茂木氏、裏金の国庫返納「難しい」 河野氏の考えに対し(2024年8月27日『毎日新聞』)

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自民党役員会に臨む茂木敏充幹事長=同党本部で2024年8月27日午前9時28分、平田明浩撮影
 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、河野太郎デジタル相が政治資金収支報告書への不記載があった議員に対し、不記載額を国庫に返納させる考えを示したことに関し、茂木敏充幹事長は27日の記者会見で「過去に遡及(そきゅう)することはなかなか難しい」との認識を示した。
 国会議員による寄付は、国庫納付を含めて公職選挙法で規制されてきたが、6月に改正された政治資金規正法で収支報告書に「不記載・虚偽記入」があった場合、収入を国庫に納付できる特例が新設された。
 だが、茂木氏は、裏金事件など過去の事案にさかのぼって改正法を適用することは困難との認識を示し、「立法趣旨も踏まえた上で、どのような対応ができるか検討していくことが必要だ」と語った。【加藤明子

自民・河野太郎氏総裁選出馬を正式表明「この国前に進めたい」不記載議員に返納求める意向(2024年8月26日『産経新聞』)
 
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自民党総裁選挙への立候補を表明をする河野太郎デジタル担当相=26日午後、国会内(春名中撮影)
 

自民党河野太郎デジタル相(61)=衆院神奈川15区=は26日、国会内で記者会見を開き、自民党総裁選(9月12日告示、27日投開票)への立候補を正式に表明した。河野氏は「この国を前に進めたい。日本の将来のために今やらなければいけない改革をしっかりと進め、本来日本の強みであった分厚い中間層をもう一度作っていく」と述べた。また、派閥政治資金パーティー収入不記載問題に関連し、国民の信頼を回復するため、不記載があった議員らに不記載額の返納を求める考えを示した。
河野氏の総裁選への出馬は3年前の前回選に続き、2回連続3回目。「ポスト岸田」で正式に名乗りを上げるのは小林鷹之前経済安全保障担当相(49)、石破茂元幹事長(67)に続き3人目となる。小泉進次郎環境相(43)も30日に出馬表明する方針で、総裁選に向けた活動が本格化する。
河野氏は当選9回。これまでに外相や防衛相、ワクチン担当相を歴任するなど要職経験も豊富で、突破力には定評がある。所属する派閥「麻生派志公会、54人)」会長の麻生太郎副総裁から出馬の了承も取り付けた。ただ、派閥内には河野氏の政策や政治姿勢に否定的な議員がおり、まずは派内をまとめられるかどうかが焦点となる。
令和3年の前回選では石破、小泉両氏の支援を受け「小石河連合」と呼ばれ、地方票では岸田文雄首相を上回ったものの、決選投票で敗れた。今回は3人が競合する形となる。
総裁選には茂木敏充幹事長(68)が立候補の意向を固めている。林芳正官房長官(63)、高市早苗経済安保相(63)も出馬を準備。上川陽子外相(71)、加藤勝信官房長官(68)、斎藤健経済産業相(65)、野田聖子総務相(63)らが立候補に必要な推薦人確保を急いでいる。

河野太郎氏「誹謗中傷はまずブロックを」「ブロックへの批判おかしい」総裁選出馬会見(2024年8月27日『産経新聞』)
 
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自民党総裁選への立候補を表明した河野太郎デジタル相=26日午後、国会内(春名中撮影)
 
自民党河野太郎デジタル相(61)は26日、党総裁選(9月12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、X(旧ツイッター)で一般のユーザーをブロックする自身の姿勢について首相の資質としてふさわしいのかを問われた際、「(SNSでの)誹謗(ひぼう)中傷を止めないといけない。一つは法的な手段に訴えること。もう一つ簡単にできるのはブロックすること。誹謗中傷されたら、まずはブロックすることをお勧めしたい」と語った。
河野氏のXのフォロワー数は250万を超え、現役国会議員で最多となる。一方、自身に批判的なアカウントは投稿を閲覧できないように「ブロック」している。
河野氏は会見で「いつの頃か、SNSでの誹謗中傷が非常に増えた。特にツイッターの場合は(昨年7月に)Xと名前が変わってから誹謗中傷、フェイクニュース、偽情報が管理されなくなっているのではないか」と指摘した。「誹謗中傷がある程度野放しになったことで、政治家なら誹謗中傷していい、芸能人なら、五輪選手ならと、対象が広がっている」とも語った。
その上で、「懸念しているのは、誹謗中傷する人に対しブロックした人が『けしからん』みたいに批判され、怖がってブロックしなくなるということ。大きな問題だ。誹謗中傷をネットで受け止める必要は全くない。ブロックを批判をするのはおかしいと、声を大にして申し上げたい」と強調した。
 

河野氏「異端児」は封印、現実路線で実行力を強調…自民党総裁選に出馬表明(2024年8月27日『読売新聞』)
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 自民党総裁選への出馬を正式表明した河野デジタル相(61)は、豊富な実績と高い知名度を武器に実行力をアピールする戦略を描いている。26日の記者会見では「異端児」とも称された歯に 衣きぬ 着せぬ物言いを封印したが、改革姿勢が後退したと受け止められかねないジレンマもあり、現実路線の追求は河野氏にとって「もろ刃の剣」でもある。

 

 

 
 「『改革』と言うのは簡単だが、傷だらけになりながらも改革を進める強い意志があるか、実績があるかが問われる」
 記者会見でこう述べた河野氏は、閣僚として主導した新型コロナウイルスワクチン接種事業やマイナンバーカードの普及推進などの実績を列挙した。外相や防衛相を歴任した経験を強調したほか、賃金が伸びない状況や国の借金が膨らむ財政状況を「有事」と表現し、「生活の将来不安を取り除く」と対応力に自信を見せた。
 河野氏は、報道機関の世論調査による「次の総裁にふさわしい人」では上位の常連だ。ただ、読売新聞社が23~25日に実施した調査では4位(7%)と、トップの石破茂・元幹事長(67)の22%と大差がつき、かつての人気には陰りも見られる。突破力も売りの一つだが、マイナカード推進には「強引だ」との批判もつきまとっており、河野氏はこの日、調査結果について「デジタル化を進めていく上であったり、いろんなことが影響している」と認めた。
 持論だった「脱原発」からの修正も現実路線の一環だが、党内には「首相を目指すにあたっては妥当な判断」(ベテラン)との評価がある一方、変節ととられかねない懸念もある。
 現実路線は、党内の支持固めにも表れている。河野氏に近い議員の一部からはこれまで「党改革を訴えるなら麻生派をまず出ないと話にならない」(平将明衆院議員)などと、所属する麻生派を離脱するよう再三求められたが、河野氏は応じなかった。麻生派は「河野氏支持」を基本とする方向で、一定の支持基盤を確保したことになる。
 ただ、派閥への批判が高まっている状況では、支持の広がりを欠く可能性もある。河野氏は記者会見で「総裁選後の人事に派閥を介入させないことが大事だ」と訴えたが、無派閥で出馬する候補に比べて「古い自民党の象徴とみられかねない」(閣僚経験者)との指摘も出ている。
 前回2021年の総裁選で河野氏を支えた石破氏と小泉進次郎・元環境相(43)は今回はライバルとなる。「小石河連合」の票が分散する中、総裁選では河野氏の地力が試されそうだ。