【甲子園】京都国際 西村は53年ぶりの「防御率0・00」で優勝投手狙う「中崎さんがいるから…」(2024年8月23日)

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初優勝に喜ぶ京都国際ナイン
 
■第106回全国高校野球選手権大会 最終日・決勝  京都国際2ー1関東第一 延長10回タイブレーク (23日 甲子園)
 
京都国際(京都)が関東第一(東東京)に決勝戦では史上初の延長タイブレークの末に破り、春夏通じて初の甲子園優勝を飾った。無死一・二塁で始まる延長タイブレーク。京都国際は0ー0で迎えた延長10回、エース左腕・中崎琉生(3年)の代打・西村一毅(2年)が左安打で無死満塁から1番・金本佑伍(3年)が押し出し四球をもぎ取り1点を先制。さらに三谷誠弥(3年)がライトへ犠飛を放ち1点を加えた。エース中崎が9回まで4安打無失点、10回は2番手・西村が無死満塁のピンチを招き内野ゴロ間に1点を失うも後続を抑えた。京都勢では1956年・平安(龍谷大平安)以来、68年ぶりの5度目の全国制覇となった。
京都勢の決勝進出は2005年・京都外大西以来19年ぶり。東京勢と京都勢の決勝での対戦は春夏を通じて初めてだった。
京都国際は2年ぶり3回目、関東第一は5年ぶり9回目の夏の甲子園出場。京都国際は準決勝では今春センバツで3ー4でサヨナラ負けした青森山田(青森)に2点を追う6回1死満塁の好機から5番・長谷川颯(2年)がライトへ同点のタイムリー、続く6番・服部颯舞(3年)の投ゴロ間に1点を勝ち越した。先発の背番号「1」左腕・中崎琉生(3年)は初回に2失点のみで4回まで投げ、5回からは2番手の背番号「11」左腕・西村一毅(2年)が9回まで無失点で投げ切り、甲子園で23回無失点を継続していた。
京都国際は先攻。関東第一の背番号「10」先発左腕・畠中鉄心(3年)に対して1、2回の攻撃はともに三者凡退に終わる。
京都国際の先発は中崎、甲子園では試合前まで3試合に先発し22回を投げ防御率2.05だった。中崎は1回、全て内野ゴロで三者凡退に抑え2回も走者を出さず3人で退ける。
京都国際は3回の攻撃で2死から中崎が中安打、1番・金本佑伍(3年)も中安打で一・二塁とするも2番・三谷誠弥(3年)は遊ゴロで先制できず。
4回の攻撃で1死から4番・藤本陽毅(3年)が四球で出塁も捕手の牽制に刺され好機を作れなかった。
中崎は4回1死から初めての走者となるヒットを許すも4番・高橋徹平(3年)を空振り三振に取る。京都国際は5回の攻撃で1死から7番・奥井颯大(3年)が左中間にツーベース、2死後に中崎が遊内安打で一・三塁とするも金本は遊ゴロに倒れた。
中崎は5回2死から二内安打をセカンド三谷の後逸も内外野で好連携で二塁で走者を封殺する。
10分間のクリーリングタイム明け6回、先頭・三谷が遊内安打、3番・沢田遥斗(3年)のバントが内安打となり無死一・二塁に。4番・藤本の犠打で1死二・三塁とするが5番・長谷川は浅い中飛、6番・高岸栄太郎(3年)は空振り三振に倒れる。
中崎は6回2死から1番・飛田優悟(3年)に三内安打に二盗を決められ2死二塁も2番・成井聡(3年)と投ゴロに打ち取った。
関東第一は7回からエース右腕・坂井遼(3年)で登板、京都国際は三者凡退に倒れた。中崎は7回1死から4番・高橋に四球を出し2死二塁も得点圏となるも後続を抑える。だが8回の京都国際打線は3人で終わる。
中崎は8回1死からヒットを許し2死二塁も1番・飛田の強烈な三直を清水詩太(2年)がしっかり捕っていた。9回、京都国際は4番・藤本陽毅(3年)が中安打、代打・長谷川颯(2年)の犠打で1死二塁、2死後に7番・奥井颯大(3年)が死球で2死一・三塁から8番・清水詩太(2年)は三ゴロに倒れた。
中崎は9回2死満塁の大ピンチを招くも7番・熊谷俊之介(3年)を右飛に打ち取った。
 
《京都国際 甲子園成績》
1回戦 7ー3 札幌日大南北海道) 
2回戦 4ー0 新潟産大付(新潟)
3回戦 4ー0 西日本短大付(福岡)
準々決勝 4ー0 智弁学園(奈良)
準決勝 3ー2 (青森山田
決勝 2ー1 関東第一(東東京)延長10回タイブレーク

京都国際が初優勝 68年ぶり古都京都に深紅の大旗 史上初の決勝タイブレーク制す(2024年8月23日『日刊スポーツ』)
 
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京都国際対関東第一 関東第一を破って優勝し、歓喜する京都国際の選手たち(撮影・前田充)
 
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京都国際対関東第一 初優勝を決め、校歌を歌う京都国際(撮影・足立雅史)
 
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京都国際対関東第一 試合後、健闘をたたえ合う両校の選手たち(撮影・前田充)
 
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京都国際対関東第一 初優勝を果たした京都国際ナイン(撮影・石井愛子)
 
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京都国際対関東第一 初優勝を決め歓喜する京都国際(撮影・足立雅史)
 
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京都国際対関東第一 初優勝を果たし両手を挙げ喜ぶ京都国際・西村一毅(撮影・石井愛子)
 
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京都国際対関東第一 初優勝を決め歓喜する京都国際(撮影・足立雅史)
 
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京都国際対関東第一 京都国際に敗れた関東第一(撮影・足立雅史)
 
全国高校野球選手権:京都国際2-1関東第一>◇23日◇決勝
京都国際が関東第一(東東京)とのタイブレークを制し初優勝を果たした。決勝戦でのタイブレークは史上初。京都勢の夏の甲子園優勝は1956年の平安(現龍谷大平安)以来68年ぶり。甲子園球場100年の夏。深紅の大優勝旗は古都京都へ。
京都国際対関東第一 初優勝を決め歓喜する京都国際(撮影・足立雅史)
両校投手陣が譲らず0-0でタイブレークへ。10回表、無死一、二塁から9番代打西村一毅投手(2年)が左前安打を放ち無死満塁。1番金本祐伍外野手(3年)が押し出し四球を選び勝ち越し。さらに2番三谷誠弥内野手(3年)の犠飛で2-0とした。
その裏の関東第一の攻撃を西村が1点に抑え抑え逃げ切った。
関東第一は初優勝を逃した。東京勢1として13年ぶりに優勝旗を持ち帰ることはできなかった。
 
<京都勢の優勝>
1915 京都二中
1938 平安中
1951 平安
1956 平安
2024 京都国際
 
◆京都国際 1947年(昭22)に京都朝鮮中として開設。58年に学校法人京都韓国学園となり、63年には高等部が開校された。03年に日本の学校教育法第1条の認可を受ける。日韓両国から中高一貫校として認められ、京都国際中学高等学校となる。普通科のみで、全校生徒160人(女子87人)。野球部は99年4月創部。部員61人。主な卒業生は阪神中川勇斗、DeNA森下瑠大ら。所在地は京都市東山区今熊野本多山町1。白承桓校長。

【甲子園】京都国際 西村は53年ぶりの「防御率0・00」で優勝投手狙う「中崎さんがいるから…」(2024年8月23日『スポニチアネックス』)
 
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勝戦に向け気合いが入る京都国際・西村(左)と中崎(撮影・中辻 颯太)
 
 初優勝はどちらの手に――。第106回全国高校野球選手権大会はきょう23日午前10時、決勝が行われる。春夏通じて初の決勝に進んだ京都国際(京都)は、2年生左腕の西村一毅が23回連続無失点中。この日は東大阪市内での前日練習に参加しノースロー調整で、1971年以来、53年ぶりとなる防御率0・00での優勝投手誕生へ準備を済ませた。
 「防御率0・00」の投手が命運を握っている。京都国際の背番号11左腕・西村は、登板3試合で2完封を含む23回無失点を継続して決勝に導いた。「無失点は、あまり考えていなくて勝つことだけを考えている。あと一つで全国制覇。いつも通り冷静に投げたいです」。今春選抜のベンチ外から一躍台頭した2年生が、勢いそのままに頂点に導く覚悟だ。
 防御率0・00で優勝投手となれば、71年桐蔭学園(神奈川)・大塚喜代美以来53年ぶり、金属製バットが導入された74年以降では初の快挙となる。大塚は、初戦から全5試合45イニングを1人で投げ抜き、計2失点(自責0)で初出場初優勝に導いた。一方の西村は、エース・中崎琉生(3年)との「左腕二枚看板」で戦ってきた。準々決勝までは互いに2完投ずつで、初の継投策となった青森山田(青森)との準決勝は2人で2失点に抑えた。
 「(先発時は)中崎さんがいるから初回から全力で投げられる」
 小牧憲継監督は「明日は総力戦。継投になると思う」と言及した。準決勝同様に中崎を先発、西村を救援待機で臨む策も選択肢の一つで、西村は「ゼロに抑えたら負けない」と気持ちを高ぶらせた。相手エースの坂井遼(3年)も15回2/3無失点。甲子園球場開場100年を迎えた記念すべき大会は、「防御率0・00」対決で決着する。
 (河合 洋介)
 ◇西村 一毅(にしむら・いっき)2007年(平19)7月7日生まれ、滋賀県甲賀市出身の17歳。小2から水口少年野球団で野球を始め、水口中では近江ボーイズに所属。京都国際では1年秋からベンチ入り。最速143キロ。50メートル走6秒7、遠投80メートル。1メートル77、66キロ。左投げ左打ち。