立憲民主党、代表選は9月23日に決定 あえて「自民党総裁選」と同時期にぶつけてきた狙いは?(2024年8月7日『東京新聞』)

 
 立憲民主党は7日、泉健太代表の任期満了に伴う代表選の日程を9月7日告示、同23日投開票と決めた。同日に東京都内で臨時党大会を開く。9月に実施される自民党総裁選の日程に近接させ、政権交代に向けて関心を高める狙いがある。共産党などとの野党連携のあり方や、安全保障やエネルギー政策など政権を担った場合の主要政策への姿勢が争点となる。

◆枝野氏、泉氏が意欲、野田元首相の名前も

 枝野幸男前代表がすでに出馬の意向を固めたほか、泉氏が再選に意欲を示している。このほか野田佳彦元首相や重徳和彦衆院議員、小川淳也政調会長らの名前があがっている。
両院議員総会であいさつする立憲民主党の岡田幹事長(左から4人目)。右は泉代表(佐藤哲紀撮影)

両院議員総会であいさつする立憲民主党の岡田幹事長(左から4人目)。右は泉代表(佐藤哲紀撮影)

 自民党総裁選と同じ時期の代表選実施を決めたことについて、岡田克也幹事長は7日の記者会見で「日程が重なったほうが比較しやすい。候補者の議論を見て、どちらが政権を担うにふさわしいか有権者に判断してほしい」と話した。
 共同通信世論調査では、自民党の裏金事件などの影響で内閣支持率が昨年5月の47%から今年7月の24.6%にほぼ半減したが、立民の政党支持率は同時期に8.8%から10.1%に微増しただけ。代表選を浮上のきっかけにしたいとの期待も強い。7日の両院議員総会では「一向にわが党の支持率が上がらない。最後の手段が代表選だ」(篠原孝衆院議員)との声もあがった。

小沢一郎氏は泉氏退陣を要求

 野党連携のあり方を巡り、7月の東京都知事選で立民を離党した蓮舫参院議員を共産党とともに支援したことが敗因との見方がくすぶる。幅広い野党連携を求める小沢一郎衆院議員は「野党との協力体制がうまくいっていないのは困る」と泉氏の退陣を要求。小沢氏が率いる政策グループ「一清会」は6日の会合で、支援候補に関する対応を小沢氏に一任した。
 代表選は、党所属の国会議員のほか、国政選挙の公認候補予定者、地方議員、党員・サポーターも投票する。(中沢穣)
 
 

「昔の名前」ばかりの立憲代表選 抱きつき戦略不発か?(2024年8月7日『毎日新聞』)

立憲民主党の新代表に選出され、笑顔を見せる泉健太氏(左)。右は枝野幸男前代表=東京都内のホテルで2021年11月30日午後3時21分、幾島健太郎撮影


 立憲民主党の代表選は9月23日に決まった。9月下旬に実施される自民党総裁選と時期を合わせることで、世間の関心を引きつける狙いだが、正式に立候補を表明している候補者はおらず、泉健太代表(50)や枝野幸男前代表(60)といったおなじみの顔ぶれが取り沙汰される。このまま注目を集められない状況が続けば、自民総裁選に話題をさらわれ、埋没する懸念もある。

 「『昔の名前で出ています』じゃあいけない」。7月下旬、野田佳彦元首相(67)は東京都内であった講演会で、自身の出馬を求める声があることについて、昭和歌謡の一節を持ち出し、そう否定した。代表選を政権交代に向けたステップと位置づけ「自民党の総裁候補と同じぐらい人数が出て、年齢とか性別とかいろんなバランスを戦略的にやった方がいい」と述べ、多様な人材による代表選が望ましいとの考えを強調した。

 泉氏は2020年に旧立憲民主党と旧国民民主党が合流した際の代表選に40代の「若手」として出馬し、枝野氏との一騎打ちで敗れた。21年に枝野氏の後任を争う代表選を制したが、知名度不足もあり「泉代表では選挙に勝てない」との懸念がつきまとった。

 自民の裏金事件を受けて4月の衆院3補選や5月の静岡県知事選を立憲が支援する候補が制し、懸念を打ち消したかに見えたが、7月の東京都知事選で元立憲参院議員の蓮舫氏(56)が3位で敗北し、勢いには陰りが生じている。