兵庫県知事問題 「君臨」だけが目的か(2024年8月4日『毎日新聞』

松尾貴史さん作

松尾貴史さん作

 斎藤元彦・兵庫県知事の数々の不正、違法行為の疑惑について、本人からまともな説明が全くなされないまま時間だけがどんどん過ぎていく。この原稿が紙面に掲載されるときには辞職しているかもしれないが、多くの兵庫県民の方々は「何と恥ずかしい人物を知事に選んでしまったのか」と頭を抱えているに違いない。あ、東京都民の私もそう偉そうに言えるわけではないが。

 斎藤知事は、パワーハラスメントの常態化も問題視されている。西播磨県民局長だった60歳の男性が勇気を振り絞ってそれを文書で告発し、「死をもって抗議する」というメッセージを残して亡くなった。自殺とみられている。記者会見で「何に対する抗議だと思うか」と尋ねられても全く答えようとせず、「行政を進める」という趣旨を繰り返すのみ。まるで誰かから「それしか言うな」ときつく言い含められているようだ。以前の会見で…