卓球女子・早田「金より価値ある銅」 けが乗り越えた(2024年8月3日『産経新聞』)

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【パリ五輪2024 卓球女子シングルス3位決定戦】第6セット 試合に勝利し、写真撮影に応じる早田ひな=3日、パリ南アリーナ(川口良介撮影)
 
パリ五輪は3日、卓球女子シングルス3位決定戦で、第3シードの早田ひな日本生命)が第4シードの申裕斌(シン・ユビン)=韓国=を4―2で下し、銅メダルを獲得した。
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小学生の頃の早田ひな選手。平日に加え、土日も朝からクラブに通っていた
 
勝負が決すると早田は座り込んで目を押さえた。この日の3位決定戦も左腕のテーピングはきつく巻かれていた。それでも懸命にラケットを振り、銅メダルをつかんだ。「いろんな人に支えてもらって戻ってこれた。金より価値ある銅」と力を込めた。
第3ゲーム、11-10。申がレシーブでミスしたのを見逃さず、フォアから強烈なドライブを打ち込んだ。2ゲーム目に続きジュースにもつれたゲームを連取し、逆転に成功。意地を見せた早田は絶叫した。
得意のバックハンドに持ち込みたい申に対し、フォアで勝負したい早田。サーブレシーブで先手を打ち、自分の形に持ち込めた方が得点していった。
第5ゲームを失ったものの、第6ゲームを11-7で取り返し雌雄を決した。
棄権の選択肢もあった2日の準決勝から一夜。状態が著しく改善したわけではない。それでも早田は痛み止めの注射を打ち出場した。
3年前の東京五輪は同学年の伊藤美誠スターツ)らとの熾烈な代表争いで敗れ、補欠として同行。パリ五輪選考では東京五輪銅メダルの伊藤がメンバーから外れた。切磋琢磨してきたライバルの分までという思いは強かった。
万全の状態で戦い切ることはできなかった。だが、「左手よく頑張った」。けがを乗り越えて日本勢2大会連続銅メダルをつかんだ。(石原颯)