米短文投稿サイト「X(ツイッター)」オーナーのイーロン・マスク氏が、自身のアカウントで、民主党のカマラ・ハリス副大統領の選挙広告に見せかけたディープフェイク動画を拡散した。Xの規約に反するとして批判にさらされている。
バイデン氏推薦のハリス氏
動画は今秋の大統領選に向けてハリス氏が公開した選挙広告に、ハリス氏の声を模したナレーションをかぶせて編集したもの。バイデン大統領を、陰謀論者が好んで使う「ディープステート(影の国家)の操り人形」と呼び、ハリス氏についても「女性で有色人種という究極の多様性採用」とするなど差別的な内容も含まれる。元の選挙広告にある共和党のトランプ前大統領と、副大統領候補のJ・D・バンス上院議員の画像は削除されていた。
マスク氏は26日、「これはすごい」という短いコメントに笑い泣きの絵文字を添えて動画をリポストした。動画の最初の投稿者は「パロディー」であると明記していたが、マスク氏の投稿にはそうした説明はなく、29日までの3日間で1億3000万回以上閲覧された。マスク氏は今回の大統領選でトランプ氏への支持を表明している。
Xは規約で「何らかの損害につながる可能性が高い、合成または操作されたメディア」を意図して共有することを禁止している。
投稿を受け、エイミー・クロブシャー上院議員(民主党)は新興SNS「スレッズ」への投稿で「X自身の規約に反するのみならず、大統領選に向け、偽のAI音声や画像を改変したコンテンツを党派に関係なく無制限に解き放つことになる」と危惧。カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)はXで「このような『広告』で音声を操作するのは違法とすべきだ」と批判した。
批判を受けてマスク氏は「パロディーは米国では合法だ」と挑発。29日には「レガシーメディアは、政治目的のために感情を同調させることに没頭している。彼らは事実上、民主党の機関だ」と批判した。