木下和人さん(69)と江美子さん(69)。和人さんは以前住んでいた大阪府内で、心肺蘇生法などを習得した「市民救命士」の資格を得ていた。だが、県内ではこれまで、聴覚障害に対応した講習がなかったという。
応急手当普及員は講習や試験を経て消防本部が認定する。資格があると、救命講習を開催できる。企業や自主防災組織内で取得し、従業員やメンバーを指導することが想定されている。
和人さんは「人の役に立つ知識を身につけられて楽しい」、江美子さんは「消防などに、手話ができる人が少ない。不安の種を減らすために少しでも覚えてもらえれば」としている。
同署の山倉好啓・救急課長は「今は障害がある方に十分に対応できていないのが実情。今後は徐々にでも、対応策を模索していきたい」と話した。