批判の声1千件以上「どうしたらいいのか」 告発者死亡、副知事辞職に揺れる兵庫県庁(2024年7月12日『産経新聞』) 

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退職を表明する兵庫県の片山安孝副知事=12日午前、神戸市中央区(二星昭子撮影)
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを告発する文書を配布し、懲戒処分を受けた元県西播磨県民局長の男性(60)が死亡した問題は12日、ナンバー2として県議会との調整役などを担ってきた片山安孝副知事が斎藤氏に辞表を提出する事態に発展した。斎藤氏は同日夕に続投を表明したものの県には批判が殺到しており、職員の間で動揺が広がっている。
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7月末に辞職する意向を表明した片山氏は人事課長や産業労働部長などを歴任。退職後、令和3年9月に知事の斎藤氏から「県政を熟知している」と副知事に登用され、人事や福祉などの部署を担当しながら議会との調整役を担ってきた。一方、パワハラ疑惑では県議会最大会派の自民党県議らに地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)を設置しないよう求めるなどし、対応が問題視された。
県には7日に男性が亡くなって以降、1千件以上の批判や問い合わせが寄せられている。担当職員は「業務にも支障が出て現場は疲弊している」と明かし、幹部も「職員は周囲から『どうなっとんのや』といわれる。この閉塞(へいそく)感をどうしたらいいのか」と頭を抱える。
片山氏は同日午前の会見で「『私だけ先に去って』と非難されるかもしれないが混乱を招いた責任を取りたい」と説明。片山氏から5回にわたって辞職するよう進言された斎藤氏は同日午後の会見で「大変重い進言だが県政を前に進めるため、全力を尽くすことが最大の責任の果たし方だ」と辞職を否定した。

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斎藤元彦兵庫県知事への決別宣言 辞職意向の側近副知事、「対話力不足」指摘する場面も(2024年7月12日『産経新聞』)
 
辞職を表明した片山副知事=令和6年7月12日午前11時、兵庫県庁(安田麻姫撮影)
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを告発する文書を作成した元県西播磨県民局長の男性(60)が死亡した問題を受け、片山安孝副知事が12日、辞職する意向を表明した。記者会見では、11日までに斎藤氏に計5回にわたり、一緒に退職するつもりはないか確認したことを明かし、斎藤氏のコミュニケーション力不足を指摘する場面も。側近の辞職に、県関係者からは「知事への決別宣言だ」「一人だけ辞職するのは先に逃げたようにみえる」といった声が聞かれた。
片山氏が副知事に就任したのは令和3年9月。当時は県庁を離れ、中小企業を支える県信用保証協会理事長の職にあったが、同年7月の知事選で初当選した斎藤氏側から要請があったという。
以降、知事の側近として県政を支え、特に斎藤氏の就任1年目は「人事や議会との折衝など、片山氏が大部分を差配していた」(県関係者)。だが、斎藤氏が県政の内情に明るくなるにつれ、斎藤氏の意向に沿うよう判断を迫られることが増えていったという。
今回の問題が浮上して以降は議会側との調整に追われ、自身の辞職と引き換えに百条委員会の設置を取り下げるよう自民県議に求めていたことが判明し、批判を浴びた。
この日の会見では、こうした経緯も踏まえ「斎藤氏の初期対応がうまくできていなかった」とし、県職員や県議らとのコミュニケーションが以前から不足していたと指摘。政策などを実行した後の「ケアが足りない」と苦言を呈する場面もみられた。
6月以降、5回にわたり、斎藤氏に進退について進言したが、辞職は拒否されたことも明かした。県関係者は「2人の間のやり取りまで明らかにするのは知事に対する決別宣言だ。これ以上は支えきれないと判断したのだろう」と心中を推し量った。

斎藤知事の“パワハラ疑惑”などを告発する文書 片山副知事辞職表明までの一連の問題の経緯は/兵庫県(2024年7月12日『サンテレビ』)
 
 
斎藤知事の最側近である片山副知事が辞職の意向を示すまでに至った一連の問題。これまでの経緯を振り返ります。
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兵庫県の斎藤元彦知事
 
問題が発覚したのは、2024年3月。
県の西播磨県民局長の男性(60)が斎藤知事のパワハラ疑惑などを告発する文書を作成し、報道機関などに送付しました。
文書で知事などによるパワハラや県内企業からの贈答品を受け取ったことなど7つの疑惑を告発しました。
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辞職の意向を表明した片山安孝副知事
この疑惑について斎藤知事は即座に疑惑を否定。
県の内部調査でも「文書は核心的な部分が事実ではない」とし、県は2024年5月、男性を停職3カ月の懲戒処分としました。
しかし県議会の各会派からは、県の内部調査について客観性を疑問視する声が上がり、第三者委員会による再調査が決定。
さらに県議会でも6月、強い調査権を持つ百条委員会の設置が決まりました。
そして、7月7日。元県民局長の男性が姫路市内で死亡しているのが見つかりました。
男性は、7月19日に百条委員会に証人として出席する予定でした。
事態を受け、県職員労働組合は、知事に事実上の辞職を求める異例の申し入れを行いました。
これに対して知事は、自身の進退について、繰り返し、辞職を否定。
そして12日、片山安孝副知事が辞職の意向を表明。
県職員との信頼回復が急がれる中、県政の混乱が続いています。

兵庫県、はずかしい」知事のX投稿発掘→「ブーメラン」の指摘 告発された「パワハラ」体質、その素性を振り返る(2024年7月12日『J-CASTニュース』)
 
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斎藤元彦知事(写真:アフロスポーツ)
 パワハラを告発された兵庫県の斎藤元彦知事(46)は、職員労組から辞職を迫られ、最側近の片山安孝副知事も辞任表明した結果、県庁内で孤立する事態になっている。
 
 一方、斎藤氏は、告発を「うそ八百」と発言するなど、辞職を拒否する姿勢を崩していない。県政を混乱状態にした斎藤氏とは、一体どんな人物なのだろうか。
■批判はスルー、激励のコメントだけにリプライ
パワハラ断固反対」「相変わらず遠足&お土産ですか」
 斎藤氏は2024年7月6日、城崎温泉駅で観光キャンペーンの行事に出席して、その写真を自らのインスタグラムに投稿した。「ひょうご観光をさらに盛り上げるべく、頑張ります」と意欲を語ったが、コメント欄には、こんな批判が相次いでいる。
 しかし、それらはスルーし、激励のコメントだけにリプライしていた。「暑い毎日ですがお体にお気をつけて頑張ってくださいね」との声には、「ありがとうございます。がんばります」と返す、といった具合だ。
 斎藤氏のパワハラ問題は、西播磨県民局長(60)が3月、マスコミなどに告発することで発覚した。その文書では、7項目が挙げられ、公用車を降りて20メートル歩かされただけで出迎えた職員らを怒鳴り散らした、といった行為が指摘された。また、地元企業からの贈答品をどんどん自分のものにしてしまうなどの「おねだり体質」は職員の間で有名だったとされる。
 これに対し、斎藤氏は、「うそ八百」と告発を否定し、県は5月、「核心的な部分が事実ではない」などとして、県民局長を停職3か月の懲戒処分にした。しかし、その客観性に疑問が出て、県議会は6月、ウソや証言拒否に罰則がある百条委員会を設置して調査に乗り出した。その最中の7月7日に証人予定の県民局長が自殺したと報じられ、波紋が広がっている。
 斎藤氏は、東大経済学部卒後、総務省に入り、大阪府の財政課長を経て、21年7月に知事選に立候補・初当選した。
 それからは、どんな知事として仕事をしていたのだろうか。
兵庫県これは異常ですよ」「一刻も早く辞職をするべきだ」
 関西テレビの22年2月11日のウェブ版記事によると、斎藤氏は、知事選で繰り返し訴えた公用車問題については、最高級車「センチュリー」に一度も乗らず、職員移動用のワンボックス車を使う徹底ぶりだった。
 また、選挙で「現場にどんどん出る」と訴えた通り、よく視察に出かけ、保健所の多忙ぶりを見て、ペーパーレス化を一早く推進した。
 その一方で、1日1回更新していたXでは、批判的な意見を寄せる県民らに対し、次々にブロックした。精神的にしんどいのでそうしている、と斎藤氏は説明していたという。
 このことについて、関テレの記者は、「斎藤知事の聞く力には疑問符がつく」と書いていた。インスタで、自らへの批判はスルーし、激励に対しては丁重にお礼を述べる、といった行為と一脈通じているとも言えそうだ。
 今回のパワハラ問題で、頑なに辞職を拒む斎藤氏に対しては、ネット上で、不満がくすぶっている。
兵庫県これは異常ですよ」「一刻も早く辞職をするべきだ」「兵庫県民がリコール請求をしたらいい」
 ただ、副知事が5回も辞職を求めたのに対し、斎藤氏は、すべて断ったという。県庁にも、辞職要求を中心に700件以上の意見が来ているというが、斎藤氏は7月12日の会見でも、「県職員らと信頼関係を再構築し、県政を立て直していく」と続投を表明した。
 こんな異常事態になって、斎藤氏が告示前にXで投稿し、物議を醸した発言がブーメランになっているとの指摘が出ている。
 それは、県政の現状を憂い、「『兵庫県、はずかしい』。こどもたちからそんな声が出ています」との発言だ。これに対し、それは斎藤氏のせいだとして、「当選してしまったけどブーメランとして戻って来た」と指摘する声が出た。
 なお、斎藤氏は、投稿後に削除して謝罪し、「兵庫をより良くしたいという気持ちは変わらず、皆様の声と共に歩んでまいりたいと思います」と釈明してはいた。
J-CASTニュース編集部 野口博之)