小池百合子氏が向き合う4年、どんな課題が? 少子化・「2025年問題」・国政との距離…かじ取りどうする(2024年7月8日『東京新聞』)

 
 7日に投開票された都知事選で、現職の小池百合子氏(71)が3選を決めた。新たな4年の任期中には、団塊の世代後期高齢者となる「2025年問題」への対応や少子化対策地球温暖化への取り組み、世界的なスポーツイベントの運営など、課題が山積み。かじ取りが注目される。
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少子化と2025年問題

◆「0.99」の衝撃、出産支援はどうなる?

 「この5、6年が最後のチャンス」―。都子供政策連携室の担当者が力を込めるのは、少子化対策についてだ。1人の女性が生涯に産む見込みの子どもの数を示す最新の「合計特殊出生率」(23年)で、都は全国で唯一「1.0」を割り込み、0.99を記録した。2030年代には20~30代の人口が急激に減少するため、それまでに出生数を回復傾向に持ち込まなければ、少子化はいよいよ加速する。
 背景は非婚・晩婚化や経済の問題、職場の環境など複合的だ。都は出産を望む人が望むだけ出産できるように支援策を打ち出しているが先は見通せない。

◆一気に増える後期高齢者、医療や介護の態勢は

 高齢化も切実だ。国勢調査や都の推計によると、都の65歳以上の人口割合を表す高齢化率は2025年に22.7%、2035年には25%に達し、都民の4人に1人が高齢者になると予測されている。2025年時点の内訳は65~74歳の前期高齢者(131万人)を、75歳以上の後期高齢者(191万人)が大幅に上回る見込みだ。
 さらなる高齢化に伴って医療や介護の需要が増し、社会保障費の拡大が確実視される。少子化労働力人口が縮小し、介護職などの担い手不足が深刻化すると、医療や介護の体制維持が難しくなると指摘されている。
 また、都は単身世帯率が全国で最も高く、2020年の国勢調査では全世帯の50.3%を占めた。都は全世帯のうちの65歳以上の単身世帯が2025年に12.5%、2035年に13.9%になると予測している。高齢の夫婦世帯も含め、社会全体で支援する仕組みの充実が急務だ。
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選挙・共生・環境

◆国政与党への姿勢は?議会運営は?

東京都議会の議員席

東京都議会の議員席

 任期中、少なくとも都議会議員選挙(2025年7月22日に任期満了)と参議院議員選挙(2025年7月28日の任期満了分)、衆議院議員選挙(同年10月30日に満了)が行われる。
 裏金問題をきっかけに「自民離れ」の傾向が見られる中、小池氏は国政与党にどういう姿勢を示すのか。都議会は国政政党に加え、地域政党都民ファーストの会なども議席を持つ。知事選の結果が都議選などにどう影響するのか。小池氏の今後の議会運営も注目される。

世界陸上デフリンピックの開催地として

 世界的なスポーツイベントも予定されている。2025年9月に「世界陸上」、11月に聴覚障害者の国際スポーツ大会「東京2025デフリンピック」が都内で開催される。デフリンピックは25回目となるが、日本での開催は初めて。大会を機にデフスポーツへの理解を深めるとともに、障害の有無にかかわらず尊重し合える社会のあり方に向け、開催地としての取り組みが試される。

太陽光パネル、税金投入の効果は

住宅の屋根に設けられた太陽光パネル=都内で

住宅の屋根に設けられた太陽光パネル=都内で

 このほか同年4月、都内の新築住宅に太陽光パネルの設置を義務付ける全国初の制度がスタートする。都内の温室効果ガス排出量を2030年までに2000年比で半減する目標で、昨年3月、1500億円の基金を創設したが、多額の税金投入に見合う効果が出るのか、見定めたい。
 文・小沢慧一
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