石破茂氏
石破氏はこの日夜、出馬表明時期を質問する記者団に対し「私に限らず総裁選に出るという人は、いつが一番良い時期なのか熟考する必要がある」と述べるにとどめた。
「次の首相」にふさわしい人物を問う報道各社の世論調査でトップ常連。派閥の裏金事件で党支持率も低下し、党内では次期衆院選や来夏参院選への危機感が強まる中、「選挙の顔」として石破氏に注目が集まる。「特に厳しい選挙を経験したことのない若手の間で石破人気に期待する声が高まっている」(自民党関係者)という。麻生派を除き派閥が解消された状況も追い風で、横断的な支援を得るべく模索している。
今後の焦点は非主流派の結集軸である菅義偉前首相の動向。距離が近い「小石河連合」では、河野太郎デジタル相も出馬に意欲を見せるが、派閥解消を唱える菅氏は麻生派にとどまっていることを疑問視。2021年に自身の派閥を解消した石破氏を本命として推すとみられ、23日公開のインターネットテレビでは自民を再建できる候補か尋ねられ「そう思う」と明言した。1月には菅、石破両氏に近い国会議員が中心となり無派閥の中堅・若手による連絡会を結成。連携に向けた伏線だったと見る向きもある。重鎮は「仮に2人が手を組めば、再選を目指す岸田文雄首相にとって大きな脅威となるだろう」と指摘した。
ネックになるのが党内にある石破氏への嫌悪感。「野党の追及を受ける中、後ろから弾を撃つようにテレビで正論を吐く」(党関係者)ためで、最近も政治資金規正法改正を巡り、麻生太郎副総裁をチクリ。公明党の要求を丸のみした岸田文雄首相を念頭に「将来に禍根を残す」と発言したことに対し「副総裁は首相を支えるNo・2。なぜこういう発言をしたのか、党内に説明をした方がいい」と言及、波紋を呼んだ。
付き合いが悪く、若手の面倒を見ないとの石破評も。1994年の自社さ連立政権成立に触れ「村山富市社会党委員長を担いでも石破さんは担げない」との声も上がる状況だ。事態打開へ主催する勉強会への参加を幅広く呼びかけてきた。
党員票で優位に立ちながら、党内で不人気ゆえ苦汁をなめてきた石破氏。今回も1人1票を持つ国会議員票をどれだけ取り込むことができるかが勝敗を分けそうだ。