主任検事、再び明言避ける プレサンス国賠訴訟 大阪地裁(2024年6月18日)

 学校法人の土地取引を巡る業務上横領事件で大阪地検特捜部に逮捕・起訴され、無罪が確定した不動産会社「プレサンスコーポレーション」(大阪市)の山岸忍元社長(61)が国に損害賠償を求めた訴訟で、捜査に関わった検察官の3回目の証人尋問が18日、大阪地裁(小田真治裁判長)であった。

 当時の主任検事(51)が14日に続いて出廷したが、元社長逮捕に至る経緯の詳細については、この日も職務上の秘密などを理由に明言を避けた。

 2回目の尋問では、元社長が事件に関与したことを認める供述を撤回した関係者の取り調べを担当した検事(46)と主任検事が出廷。この検事は電話で「逮捕は待った方がいい」と主任検事に進言したと証言したが、主任検事はこの発言を「覚えていないが、否定はしない」と述べた。

 主任検事は18日の尋問で、関係者の供述撤回を上層部に報告したか問われたが、職務上の秘密を理由に証言を拒否した。 

 

検事が証言を覆す 机をたたき怒鳴った取り調べ 「記憶ない」が「思い出した」に 山岸さん国賠訴訟(2024年6月18日)

関西テレビ

巨額横領事件で逮捕・起訴され、裁判で無罪が確定した不動産会社の元社長が国を訴えた裁判。 前回の裁判で威圧的な取り調べをしたことはないと答えていた検事が、わずか4日でその証言を翻す事態となりました。 「プレサンスコーポレーション」の元社長・山岸忍さん。5年前、学校法人との土地取引で21億円を横領したとして、大阪地検特捜部に逮捕・起訴されましたが、裁判で無罪が確定しました。 部下が威圧的な取り調べを受け、うその自白をしたことから罪に問われた山岸さんは、「違法な捜査」の責任を問い、国を訴えました。

■主任検事が過去に“机をたたいて怒鳴る“取り調べをしたこと「思い出しました」

その裁判で18日、尋問を受けたのは、捜査を主導し逮捕・起訴の判断の責任を負う「主任」、蜂須賀三紀雄検事です。 18日の証人尋問では、弁護側が、別の検事が机をたたいたり怒鳴ったりする、山岸さんの部下の取り調べの映像を見たのかと問うと、蜂須賀検事は「見た記憶はない」と述べました。 また、前回の証人尋問では、自分自身が威圧的な取り調べをしたことがあるか聞かれた際、「ない」と明言していましたが、弁護側が18日に新たな証拠を提出し、流れが変わってきました。 蜂須賀検事が過去の事件で「机をたたいて怒鳴る」取り調べをしたと、自身が証言した裁判の記録が読み上げられたのです。

【山岸さんの弁護団 秋田真志弁護士(記録を読み上げ)】

「『取り調べ中、机たたいて怒鳴ることあった?』『はい』『どれぐらい?』『数回』」 蜂須賀三紀雄検事は「思い出しました」と証言を変えました。

■「自分(主任検事)がしてきたことと同じだから問題視をしなかった」

果たして法廷で「真実」は語られているのでしょうか。 【山岸忍さん】「尋問に対して的確に答えると彼らは不利になるから隠ぺいする。もっと潔い態度で臨んでいただきたかったなと思います」

【山岸さんの弁護団 秋田真志弁護士】「(蜂須賀検事が)指摘をされても録音録画を見なかったということを言っていて。そりゃそうでしょ、ご自身がやってたことと全く同じことをしていたわけだし、自分がしてきたことと同じ調べをしているだけのことですから、問題視をしなかった」 裁判では今年度内にも、国側に賠償責任があるかどうかの中間判決が言い渡される予定です。 (関西テレビ「newsランナー」 2024年6月18日放送)