自民・甘利氏、監視巡り「国内通信は除外」 能動的サイバー防御(2024年6月15日『毎日新聞』)

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政府が導入を目指す能動的サイバー防御について話す甘利明衆院議員=衆院第2議員会館で2024年6月14日、宮間俊樹撮影
 サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(ACD)」について、自民党経済安全保障推進本部長の甘利明前幹事長が14日、毎日新聞のインタビューに応じ、政府による監視の対象を他国からの不審な通信に限定し、国内通信は除外する方針を示した。「国内でのやり取りは触らず、外国から来る怪しげなものをどう察知するかが重要だ」と語った。通信の監視は憲法が保障する「通信の秘密」や個人のプライバシーに抵触するとの懸念を払拭(ふっしょく)する狙いがある。
 ACDは平時から官民が連携しながら通信を監視し、重要インフラなどを狙った重大なサイバー攻撃の危険性が高い場合は相手方のサーバーに侵入して無害化する措置。2022年末の国家安全保障戦略に明記され、政府は7日から有識者会議での議論を始めた。
 プライバシーなどを侵害するとの懸念について、甘利氏は「公共の福祉」の観点から必要最小限度の範囲で情報収集が認められるとした上で「国民に誤解を与えないよう、限定的に、逸脱しないように立法を慎重に行っていかなければいけない」と述べた。
 通信の監視対象から国内を除外するのは英国やドイツなど主要各国も同様で、外国勢力からの通信監視は安全保障上の必要性を説明しやすいためとみられる。
 通信情報の活用状況などを監視するための第三者機関の設置や国会報告の義務化については「国益と公共の福祉の確保のためにやっていることが客観的に担保されることが大事だ」と必要性を認めた。官民が連携するため平時から被害情報などを共有する組織体を設置する必要性にも言及。法案の提出時期については「拙速な議論は避けるべきだが、間に合うのであれば(秋の)臨時国会で提出してほしい」と政府に注文を付けた。【池田直】