「凸はするかも」つばさの党代表が都知事選に出馬へ 勾留中の黒川敦彦容疑者「声明文」を党関係者が発表(2024年6月13日『東京新聞』)

他陣営の前に立ち、声を出すつばさの党代表の黒川敦彦容疑者=4月16日、東京都江東区で

他陣営の前に立ち、声を出すつばさの党代表の黒川敦彦容疑者=4月16日、東京都江東区

 4月の衆院東京15区補欠選挙での政治団体「つばさの党」による選挙妨害事件で、公職選挙法違反(自由妨害)の疑いで逮捕された党代表の黒川敦彦容疑者(45)が13日、東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)に立候補する声明文を発表した。党代表代理を務める埼玉県朝霞市議の外山麻貴氏(52)が都庁で会見して説明した。

◆選挙妨害事件「今まで合法」と一連の行為を正当化

 外山氏は会見で、「私、黒川敦彦は、逮捕され、今、投獄中の身で、立候補しています。われわれの行為は、今まで合法とされてきたもので、実際の選挙の現場では無数に行われてきた行為。日本は残念ながら『権力者の気分で逮捕される国』で、表現の自由はありません」と、黒川容疑者の声明文を読み上げた。
 外山氏は「電話ボックスに登ったり、乱暴な言葉遣いになってしまったり、やりすぎた面が多々あった。党の代表代理としておわび申し上げたい」と謝罪。その上で「暴言や電話ボックスの場面が切り取られて報道されている。なぜここまで乱暴なことをやったか。それは政治家がうそつきだからだ」と説明した。
 「小池百合子知事の学歴詐称問題など、有権者の方が聞きたいことを私たちは代弁しに行っている。きれいごとの公約を聞くより、アンチと呼ばれる人からの厳しい指摘に政治家が答える、その答えにこそ本質が見えてくると訴えて、逮捕されるかもしれない危険を冒してでもやった」と話した。

◆街頭での他陣営への「質問」またやるのか

 黒川容疑者は勾留中。有罪が確定して公民権が停止されない限り、勾留中でも選挙の立候補は可能で「獄中立候補」とも呼ばれる。ただ、テレビやラジオの「政見放送」には出演できない。外山氏は「(黒川容疑者は)おそらく期間中は出てこられないと思う。もう1回くらいは再逮捕されるのではないか」との予測を示した。
 外山氏は、知事選について「基本的に逮捕されないように、今まで私たちつばさの党がしてきたような主張、前向きな活動をやっていくつもりだ」と話した。
会見で説明する「つばさの党」代表代理の外山麻貴氏

会見で説明する「つばさの党」代表代理の外山麻貴氏

 他の候補者の演説会場の近くに「凸る(突撃する)」ことは控えるのかと問われると、「どういう活動をするかは現場を見ないとわからないが、拡声器を使わずに質問をしに行く行為までおかしいと言われる道理はない。そういう行為を必要があったらするかもしれない」と述べた。
 つばさの党から15区補選に出馬し、公選法違反容疑で逮捕された党幹事長の根本良輔容疑者(29)も知事選出馬の意向を示していたが、準備が難しいとの理由で出馬しないという。

衆院東京15区補選の事件は捜査が続いている

 つばさの党による選挙妨害事件では、警視庁捜査2課が5月17日、衆院東京15区補選が告示された4月16日に無所属新人の乙武洋匡氏陣営の街頭演説を大音量の暴言などで妨害したとして、公職選挙法違反(自由妨害)容疑で、黒川容疑者と根本容疑者の他、同党幹部杉田勇人容疑者(39)の3人を逮捕した。
 6月7日には、当選した立憲民主党の酒井菜摘氏陣営の選挙活動も選挙カーで追い回すなどして妨害したとして、同容疑で3人を再逮捕した。東京地検は7日、同法違反罪で3人を起訴し、勾留が続いている。
 
 

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