番号「1」なぜこの位置に?都知事選で異例のポスター掲示順、選管「今回特有の工夫」(2024年6月11日『産経抄』)

キャプチャ
 
今回の東京都知事選のポスター掲示板。上から2段目に番号「1」があり、以降、3段目、最上段、4段目へと数字が流れる変則的な並びとなっている。両端の列は「31」以降の掲示スペースとなる
30人超の過去最多の立候補者となることが濃厚な今回の東京都知事選(20日告示、7月7日投開票)。これに伴ってポスター掲示板も類を見ないサイズとなったが、掲示位置を示す番号の並び順を巡っても、異例の対応が取られた。通例の上段右側ではなく、2段目の中央寄りから「1」が始まるのだ。選挙管理委員会に理由を聞いてみると、今回特有の〝工夫〟だという。
前回は30人分
都選管によると、掲示板は5月下旬ごろから都内各地で順次設置が始まっており、最終的に約1万4000カ所に置かれる。立候補者が多くなるとの想定を反映し、最大48人分が貼れる大きさのものが用意され、「縦3段×橫16列」と「縦4段×橫12列」の2種類が主流だ。
一方、掲載位置の番号の割り振りでは、2種類とも、上から2段目、右端からやや中央寄りの位置に「1」がある。縦3段のタイプでは、そこから左へ「10」まで並び、「11」が最上段右側から始まる。縦4段のタイプだと「8」まで並び、「9」は上から3段目、最上段右側は「17」からのスタートとなる。
左右両端の数列にも、よく見ると小さく数字が振られていて、掲示スペースとして使われる。
4年前の前回の都知事選(22人出馬)の掲示板は、30人分が掲載可能な大きさで、通例通り、最上段右側に「1」があり、以降、順番に下段へ流れていた。
キャプチャ
前回の都知事選のポスター掲示板。最上段右側に番号「1」があり、以降、順に下段へと続く=令和2年6月
視認性考慮、余白にも対応
並び順は都選管が決め、案として市区町村選管へ示している。最終的にどの順番にするかはおのおのの判断になるという。
都選管は今回の並び順とした理由について、「掲示板が巨大になり、これまでのように最上段右側を1とすると、有権者の視線からかなり遠くなってしまって見にくいと判断した」と説明。告示日当日の抽選で決まり、主要な候補者が続くことが多い「1」からの並びが、より視認性が高い位置になるよう考慮したという。
さらに、「仮に想定よりも立候補者数が少なくなった場合、従来の並びだと左側あたりに余白が目立ってしまい、『せっかくの大きな掲示板なのにもったいない』との指摘も受けかねない。今回の措置で、どのような状態になっても適切に対応できる」とする。
〝軌道修正〟する団体も
結果的に、ポスター掲示の戦略について〝軌道修正〟を余儀なくされたのが、政治団体「NHKから国民を守る党」だ。
同団体は今回の都知事選に30人規模の候補者擁立を予定しており、立花孝志党首は「ポスター掲示板の半分くらいを埋めたい」などと、「掲示板ジャック」の意向を示していた。
届け出の受け付けは告示日当日の午前8時半に始まり、この時点で集まっていた各陣営による抽選で、届け出順が決まる。ポスターもこの順番で貼られていく。
ところが同団体は、あえて抽選には参加せず、8時半以降は先着順となる仕組みを利用して、その後に一気に届け出るつもりだった。これにより、掲示板の一部エリアに同団体立候補者らのポスターを連続して並べることができるためだ。
今回の都選管の措置により、ポスターの位置が上下に分割される可能性が高まった。このため、立花氏は5月下旬、自身のX(旧ツイッター)に「この並びだと、8時30分までに並んで抽選に入ったほうが目立つので、どうするか検討します」などと投稿した。