能登半島地震で被害を受けた石川県珠洲市で県が仮設住宅を整備した際、一部の住宅で、中古品のエアコンの内部をクリーニングせずにそのまま取り付けていたことがNHKの取材で分かりました。今後、気温が上昇し使用が増えると、住民の健康に大きな影響を与えるおそれもあることから、県は仮設住宅の検査項目にエアコン内部の点検を追加するよう図るなど、対策を強化することにしています。
NHKが団地の住民らに取材したところ、複数の住宅のエアコンで、長期間使っていないにもかかわらず内部にカビが生えていたり、大量のほこりで覆われていたりしたということです。
住宅を整備した一般社団法人によりますと、エアコンの一部は中古品で、本来は専門の業者に依頼して、事前にクリーニングしておくはずが何らかの理由でそのまま取り付けられてしまったということです。
この一般社団法人は、今後、珠洲市内の仮設住宅で該当するエアコンを点検することにしています。
一方、県によりますと、通常、仮設住宅の設置後は建物の状態を確認する検査を行っていますが、対象の住宅を抜き出す「抽出検査」にとどまっていた上エアコンの状態を確認する項目は入っていなかったということです。
このため、県は今後、中古品のエアコンを取り付けた場合は、内部の状態も確認するとともに、設置に携わるおよそ40の業者や団体に対し、エアコン内部のクリーニングを徹底するよう求めたということです。
県建築住宅課の担当者はNHKの取材に対し「ご迷惑をおかけしたことについては申し訳なく思っている。今後は完成検査でしっかり確認したい」としています。
住民からは対応のずさんさに憤りの声
仮設住宅のエアコンをめぐって、住民たちからは健康面への影響を懸念する声や対応のずさんさに対する憤りの声が上がりました。
珠洲市の仮設住宅に暮らす40代の女性は、入居から1か月後のことし3月、エアコンのカバーを開けた際、内部にカビや油汚れがついていたのを見つけました。
この女性は、県などには連絡せず、みずから内部を掃除して、使用しています。
女性は、「中を見た時は、とても気持ちが悪かったです。健康に関わることなので、早急に対処して欲しいです」と話していました。
ことし3月に入居したという80代の夫婦が住む仮設住宅のエアコンもほとんど使わなかったにもかかわらず、内部はカビや汚れが目立っていました。
両親の世話で訪れた東京の50代の女性は「みんな同じ設備が付いていると思っていました。お年寄りは高いところに上って確認できないのでひどいと思います」と話していました。