蓮舫氏は応援したくない? 国民民主・榛葉賀津也幹事長「共産と連携する人が東京都知事では困る」(2024年5月31日『東京新聞』)

 
国民民主党榛葉賀津也(しんば・かづや)幹事長は31日の記者会見で、立憲民主党共産党などに推される形で都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)に無所属で立候補する意向を表明した立民の蓮舫参院議員について、「正直言って、共産党と堂々と連携する人は応援できない。共産党と連携する人が東京の知事では困る」と述べ、共産を含む共闘に加わるのは難しいとの認識を示した。(宮尾幹成)

◆「静岡県知事選では自民とも共産とも戦った」

蓮舫氏は出馬表明した27日の記者会見で、前日に投開票された静岡県知事選で立憲民主と国民民主が推薦した鈴木康友・元浜松市長が勝利したことに触れ、「静岡県民は野党候補を選んだ。国民の声ははっきりしている」などと訴えた。
これに、静岡選挙区選出の参院議員である榛葉幹事長がかみ付いた。「鈴木さんは自民党推薦候補とも競ったが、共産党公認候補とも戦った」
共産党都議団から花束を贈られた蓮舫氏㊨ =29日、都議会で

共産党都議団から花束を贈られた蓮舫氏㊨ =29日、都議会で

蓮舫氏が出馬会見で「反自民党政治」「非小池都政」を掲げたことも、「相手の批判も結構だが、こういう首都東京にするということをぜひ聞いてみたい。楽しみにしている。夢のある政策が出てくるんでしょう」と皮肉り、鈴木康友氏を引き合いに「鈴木さんは出馬の時、どの陣営や政党の批判も一切していない。幸福度日本一の静岡県を作りたい、そのために具体的にはこういうことを考えている、とおっしゃった」と語った。
蓮舫氏と共産の関係を巡っては、国民民主の玉木雄一郎代表も28日の記者会見で「一般的に言って、支援いただいた政党の影響を当選後も受けるのは当然だ」と指摘。蓮舫氏を支援するかどうかについて、「(蓮舫氏が)どのような政策を打ち出すのか、どのような政策を強調していくのか、もう少し様子を見定めたい」と述べている。

◆小池知事の政策「評価されるべきものも多々ある」

国民民主は、2017年の衆院選に際して小池百合子知事が設立した「希望の党」を源流とする結党の経緯もあり、小池知事との関係はもともと悪くない。
榛葉幹事長は、3選出馬が確実視される小池知事については「政策で評価されるべきものも多々ある」と説明。若い世帯やシングルマザー、シングルファーザーへの子育て支援策を挙げ、「小池さんを応援していない方からも、非常に充実していると高く評価されている」と話した。
蓮舫氏には「政策面で競い合ってほしい。都民も批判や悪口は聞きたくないと思う」と求めた。
報道陣の質問に答える国民民主党の榛葉賀津也幹事長(党公式Youtubeチャンネルより)

報道陣の質問に答える国民民主党榛葉賀津也幹事長(党公式Youtubeチャンネルより)

国民民主は、今年4月の衆院東京15区補選では、小池知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」が成立した政治団体「ファーストの会」が擁立した乙武洋匡氏を、自民党の推薦見送りを踏まえて推薦決定している。
ただ、今回の都知事選では「どの党が推薦するからやらないとか、そういう行動は取らない。われわれが主体的に決める」とした。
2020年の前回都知事選では、国民民主は、立憲民主や共産などが擁立した元日弁連会長の宇都宮健児氏を支援せず、自主投票としている。

◆「蓮舫氏、負けたら衆院選なんてことはないと思うが」

蓮舫氏を巡っては、仮に都知事選に敗れても、その後に行われる衆院選に鞍替え出馬するとの観測もある。
榛葉幹事長は再び、静岡県知事選で当選した鈴木康友氏を引き合いに出し、「鈴木さんは『人生最後の勝負』だと言って退路を断った。蓮舫さんも退路を断ってやるのかなと。負けたら『衆院選に出ます』なんてことはないと思うが」と語った。
東京都知事選への立候補を表明する蓮舫氏=27日、立憲民主党本部で

東京都知事選への立候補を表明する蓮舫氏=27日、立憲民主党本部で

蓮舫氏にさまざまな注文を付けた榛葉幹事長だが、蓮舫氏が玉木雄一郎氏(現・国民民主党代表)、前原誠司氏(現・教育無償化を実現する会代表)との三つどもえの戦いを制した2016年の民進党代表選で、蓮舫氏の推薦人を務めた過去もある。
都知事選には蓮舫氏のほか、元航空幕僚長田母神俊雄氏、広島県安芸高田市の石丸伸二市長ら20人以上が立候補の意向を表明している。小池知事はまだ出馬表明していない。