朗らかに会見に臨む蓮舫氏(以下、写真はすべて上田耕司撮影)
「小池圧勝の無風選挙」と思いきや、いきなり大物議員が名乗りをあげた。立憲民主党の蓮舫参院議員(56)が27日、党本部で記者会見し、都知事選(7月7日投開票)への立候補を表明した。現職の小池百合子知事も3期目に向けて出馬の意向を固めており、元女性キャスター同士の対決になりそうだ。互いに党首経験のある実力に加え、アンチファンの存在も共通する。蓮舫氏立候補の舞台裏を探った。
活躍の「青学レディ」はこちら
■条件が2つあった
「つい最近です。この2週間くらいで決断をした」
出馬を決めた時期について蓮舫氏はそう説明した。
一方で、関係者は別の舞台裏を明かす。
いずれの選挙も26日に投開票された。
静岡県知事選は、立憲と国民民主党が推薦した元浜松市長の鈴木康友氏(66)が自民党の推薦した元副知事らを下した。都議補選は欠員2議席をめぐり5人で争われたが、立憲の西崎翔氏(40)がトップ当選し、自民推薦の候補は3位で落選した。
「どちらも立憲の勝利という結果が出て、条件を完全にクリアした。それで、翌日のタイミングで、蓮舫さんが出馬表明したんです」(前出・関係者)
蓮舫氏も会見で「(2つの選挙が)影響していなかったと言えば、ウソになる。やっぱりとても大きい」と認めた。
「都民のストレスも溜まっていると思います。与党に寄り添う小池さんより、蓮舫さんに期待が集まるのではないでしょうか。私自身も大いに期待していますし、勝てるように応援します」
「蓮舫さんにとっては、初の女性総理を目指したいというのはあったと思うのですが、東京都知事にも一国の大統領と同じくらい権限がありますから。党内は一丸で、ガッチリとまとまっていますよ。もはや、『関ヶ原の合戦』です。日本を代表する女性政治家の2人が戦うわけですから。都知事選の結果が、国政にも大きく影響を及ぼし、政権交代のターニングポイントになっていくと思っています」
小池知事陣営には、彼女が特別顧問を務める都民ファースト、それに自民党、公明党が連携を模索する。一方の蓮舫陣営。立憲の東京都連幹事長を務める手塚仁雄衆院議員は記者団に、蓮舫氏は近く離党し、完全無所属で挑むことを明かした。立憲と共産党の支援を中心にしつつ、幅広く反自民勢力を取り込み、与党対野党の構図に持ち込む戦略とみられる。
■2位じゃ、だめ?
民主党政権時、蓮舫氏は予算の無駄を洗い出す「事業仕分け」の象徴的存在だった。世界一の性能をめざす国産スーパーコンピューターの開発費をやり玉にあげ、「2位じゃダメなんでしょうか」とまくしたてた姿は多くの人の記憶に残る。
「批判もすごく出てくるでしょう。国会での追及で、ギャーギャー責めたてることとかが日本的ではないという人もいます」(立憲関係者)
「友達は意外と少ないんですよ」
首都圏の立憲関係者が明かす。蓮舫氏と食事に行くと、見知らぬ人から話しかけられることが多いという。「『がんばってくださいね』と言われるくらいならいいんですけど、批判を始める人も結構いますから。そういうのに疲れちゃっているので、あんまり外に食事に行かなくなりましたね」
台湾との二重国籍が問題になった時のことが蒸し返される心配もあるという。これについては、蓮舫氏が日本国籍を選択宣言したことで決着している。「すでに終わったことなんですよ。今は多様性の時代。うちの切り返しとしては、様々な人がいることで国際的な街にすることができるという方向性です」(立憲関係者)
■東京へのこだわりが
「この間、衆議院に鞍替えしてはどうかという話は何回も出ましたが、彼女はうなずかなかった。それよりも、地元の東京都をどうにかしたいという思いがあったのでは」
そして党内きっての勉強家なのだという。
「政策をよく勉強し、とりわけ、国の補助金が出ている団体や基金については詳しいです。ずっと研究しているので、1、2年で担当が替わる官僚より遥かに詳しいです。都知事になったら、都の外郭団体へのムダ遣いを容赦なくカットするでしょう。利権の温床にメスを入れるのは彼女の大きなテーマですから」(前出・鈴木氏)
「もし、独自候補を立てなければ、維新は蓮舫さんに傾斜するのではという期待感は正直あります」(立憲関係者)
上田耕司