なぜ蓮舫氏はここへきて「都知事候補」となったのか? そのウラで起きている「意外な事態」(2024年5月28日『現代ビジネス』)

立憲の本気
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〔PHOTO〕Gettyimages
 7月7日に投開票される東京都知事選に立憲民主党参院議員、蓮舫氏が出馬すると表明した。
 小池百合子都知事学歴詐称疑惑に揺れ、4月の東京15区補選では乙武洋匡氏を擁立して惨敗を喫しただけに、立憲が「いまが好機」と満を持して蓮舫氏を担いだ形だが、実はその候補者選定の過程では意外な人物の名前も挙がっていた。
 「『裏金議員』『政治とカネ』の自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットしてほしい。その先頭に立つのが私の使命だと感じている」
 蓮舫氏は5月27日、記者会見を開いて立憲民主党本部で都知事選への意気込みを語った。
 具体的な政策発表は後日となったが、小池都政については「7つのゼロ公約、どこに行ったんでしょうか?」などと述べるなど、お馴染みの蓮舫節も炸裂した。
 立憲はこれまで都知事選に向けて、共産党や市民団体などと候補者選定委員会を立ち上げ、野党統一候補の擁立に向け、選定作業を進めていた。
 関係者は語る。
 「現在、小池氏は学歴詐称疑惑が再燃し、東京15区補選でも乙武氏が敗れるなど窮地に立たされている。都知事選では単に『選挙を戦うための候補』ではなく、本当に『勝ちに行く候補』を擁立しなければならないと立憲都連は力を入れていた」
もう一人の候補
 こうした中、蓮舫氏のほかに候補者リストに挙がっていたのが学者の本間正人氏だった。
 本間氏は京都芸術大学客員教授などを務め、「学習学」を提唱し、さまざまなテレビ番組に出演してきた。
 立憲都連の手塚仁雄幹事長は4月8日の選定委員会の会合後、報道陣に立候補希望の男性がいると明かしているが、関係者によると「この人が本間氏だった」という。
 「蓮舫氏も都知事選に出馬するとなると参院議員を辞職しなければならないため、なかなか首を縦に振らない中、ほかの候補者も想定されていて、そのうちの1人が本間氏だった。しかし、知名度ではなかなか小池氏に対抗できないというところもあり、最終的には蓮舫氏を説得する形となった」(同関係者)
 なお、説得の背景には、5月26日の静岡県知事選で自民党が推薦した候補が敗れ、野党系の知事が誕生したという背景もある。
 単に自民党に逆風が吹いているだけでなく、岸田首相が早期解散を決断しにくくなっており、衆院選都知事選より後ろになる可能性が高く、もし蓮舫氏が敗れてしまったとしても、衆院議員として復活する算段が立てやすいわけだ。
 都知事選に挑んでいく蓮舫氏だが、2022年参院選では、これまで東京選挙区でトップ当選を果たしてきたところから4位当選に転落し、人気に陰りも出始めている。
 逆風が吹いているとはいえ、都内の選挙では圧倒的な強さを誇る小池氏だ。
 互角に戦い、知事の座を奪うことができるのか。
 6月20日に告示される都知事選に国民の関心が集まっている。
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 さらに【つづき】「自民党がいよいよ崖っぷち…ナンバー2・茂木幹事長が見せている「意味深な動き」」では、現在の政局についてくわしく解説している。
宮原 健太(ジャーナリスト)