静岡県知事選挙、前浜松市長・鈴木康友氏が当選…自民党内「早期解散はさらに困難」(2024年5月27日『読売新聞』)

事の辞職に伴う静岡県知事選は26日に投開票され、立憲民主、国民民主両党が推薦した前浜松市長の鈴木康友氏(66)(無所属)が、自民党推薦の元副知事・大村慎一氏(60)(同)ら5人を破り初当選した。4月の衆院補欠選挙で不戦敗を含めて全敗した岸田首相(自民党総裁)の政権運営に打撃となり、自民内では「早期解散はさらに困難になった」との見方が広がった。

【開票結果】静岡県知事選挙、鈴木康友氏が初当選…大村慎一氏ら5人を破る

静岡県知事選で当選確実となり、万歳する鈴木康友さん(26日午後11時21分、静岡市葵区で)=後藤嘉信撮影
静岡県知事選で当選確実となり、万歳する鈴木康友さん(26日午後11時21分、静岡市葵区で)=後藤嘉信撮影

 選挙は、職業差別と受け取れる発言が批判された川勝平太・前知事の任期途中での辞職を受けて行われ、同県知事選として最多となる6人の新人が立候補。鈴木氏と大村氏はともに「オール静岡」を掲げたが、与野党対決の構図となり、両氏が激しい争いを演じた。

 鈴木氏は浜松市出身。旧民主党衆院議員を2期務めた後、2007年の同市長選で初当選した。知事選では、同市長を4期務めた知名度を生かして「幸福度日本一の静岡を目指す」などと訴えた。

 立民や国民、連合静岡などのほか、地盤とする同市に本社を置く自動車大手「スズキ」の鈴木修相談役らが支援した。県西部だけでなく、東部も含めて満遍なく支持を集めた。

当選確実の一報を受け、万歳する鈴木康友氏(右から2人目)(26日午後11時21分、静岡市葵区で)
当選確実の一報を受け、万歳する鈴木康友氏(右から2人目)(26日午後11時21分、静岡市葵区で)

 立民は泉代表や野田佳彦・元首相が、国民は玉木代表がそれぞれ鈴木氏の応援に訪れ、自民との対決姿勢を強めた。一方、大村氏を推薦した自民は、党派閥の政治資金規正法違反事件などの影響で、党幹部や閣僚らの県内入りを控えた。

 選挙戦ではリニア中央新幹線の整備への対応や川勝前知事の県政運営への評価、人口減少対策などが主な争点となった。リニア整備では、川勝前知事が認めてこなかった静岡工区(8・9キロ・メートル)の着工の是非などに各候補が言及。鈴木氏は、リニア開通で東海道新幹線の県内停車本数が増えて経済に波及効果をもたらすとして、環境保全などの課題の解決を前提に推進する立場を示した。今後、着工に向けた議論が進む見通しで、停滞していたリニア計画が動き出す可能性がある。

 投票率は52・47%で、前回(52・93%)を0・46ポイント下回った。