保険料上昇は高齢者の生活を圧迫する。保険料の抑制には、制度全体にわたる改革が急務だ。
介護保険料は、運営主体の市区町村などが介護サービスの需要見通しなどを勘案して3年に1度改定する。今回の改定では、高齢化による介護需要の増加に加え、介護職員の賃上げに向けた介護報酬増額も要因となった。
介護保険料は、制度が始まった00年度当初比で2倍を超えた。
厚生労働省は、所得のある高齢者などサービス利用料を原則1割負担から2割に増やす対象を拡大したり、介護サービスの計画であるケアプランの有料化などを検討しているが、負担増への反発もあり議論は先送りされてきた。
しかし、高齢化で介護需要は高まる一方、介護職員は不足しており、賃上げなどさらに待遇を改善しないと必要な人材が確保できない厳しい状況が続く。
介護保険料は高齢者の増加や介護事業者の参入など状況の違いにより自治体間でばらつきがある。東京都小笠原村は3374円なのに対し、最高額の大阪市は9249円だ。基金の取り崩しで保険料の上昇を抑えた自治体もあるが、財政事情が厳しい自治体では取り崩しにも限界がある。
高齢者の介護予防に取り組むなど、地域に根差した独自のサービスを提供することで、保険料上昇を抑えているとみられる自治体もある。こうした成功事例を共有すれば、同様の課題を抱える他の自治体の参考にもなるだろう。
見守りセンサーや介護ロボットの導入など介護サービスを効率的に提供する工夫も欠かせない。情報通信技術(ICT)の活用例も全国の介護事業者で共有したい。