読売新聞社は
憲法に関する全国
世論調査(郵送方式)を実施し、
憲法を「改正する方がよい」との回答が63%(前回昨年3~4月調査61%)と、3年連続で6割台となった。
憲法を「改正しない方がよい」は35%(前回33%)だった。
改正賛成派の割合は、調査が郵送方式となった2015年以降で最も高かった。調査方法が異なるため単純な比較はできないが、面接方式だった04年調査の65%に次いで2番目に高かった。
戦争放棄を定めた9条1項を改正する必要は「ない」とした人が75%(前回75%)だった。一方、戦力の不保持などを定めた9条2項を改正する必要が「ある」が53%(同51%)で過去最多となり、「ない」の43%(同44%)を上回った。
憲法に
自衛隊の根拠規定を追加する
自民党案について、「賛成」は56%(同54%)、「反対」は40%(同38%)だった。
憲法改正賛成派が増えた背景には、日本を取り巻く安全保障環境の変化があるとみられる。中国の軍備増強や日本の領海への侵入が安全保障上の脅威だと「感じる」との回答は、「大いに」59%、「多少は」34%を合わせて93%に上った。
9条を今後どうすればよいと思うかを尋ねると、「解釈や運用で対応するのは限界なので改正する」が44%(前回43%)で、「これまで通り解釈や運用で対応する」が38%(同37%)、「厳密に守り、解釈や運用では対応しない」が14%(同15%)と続いた。
国会で
憲法に関する議論を進める際、AI(
人工知能)などデジタル技術の発展をふまえるべきだと「思う」は58%で、「思わない」の39%を上回った。
調査は3月1
日本国憲法は3日、1947年の施行から77年を迎える。毎日新聞が4月20、21の両日に実施した全国世論調査では、岸田文雄首相の在任中に憲法改正を行うことについて尋ねたところ、「賛成」との回答は27%で、「反対」との回答の52%を下回った。 2022年4月の調査は「賛成」が44%、「反対」は31%と賛成が上回っていたが、23年4月の調査では「賛成」が35%、「反対」は47%と賛否が逆転している。2年連続で「賛成」が減少する一方、「反対」が増加した。首相は自身の自民党総裁任期中に憲法改正を目指すと発言しているが、9月末に1期目の任期満了が迫る中、世論の機運は高まっていない。
支持政党別に見ると、自民党支持層では「賛成」が6割弱、「反対」は約2割だったが、公明支持層では「賛成」が2割弱にとどまり、「反対」は4割弱だった。改憲に積極的な日本維新の会の支持層でも、「賛成」と「反対」が拮抗(きっこう)した。
立憲民主党の支持層では「反対」が約7割に上った。「支持政党はない」と答えた無党派層では「賛成」が2割弱、「反対」は6割弱だった。男女別、年代別では、いずれも「反対」が「賛成」を上回っている。
9条を改正して自衛隊の存在を明記することについては、「賛成」が49%で、「反対」の34%を上回った。自民支持層で「賛成」が7割強を占めた一方、立憲支持層では「反対」が約5割、無党派層では賛否が拮抗した。
緊急事態の際に国会議員の任期を延長できるようにする憲法改正については、「賛成」が31%で、「反対」の48%を下回った。自衛隊明記、議員任期延長のいずれも2年連続で「賛成」が減少し、「反対」が増加する傾向となっている。【佐藤慶】