自民支持層も政倫審の説明・党則改正に厳しい目、内閣支持率は5か月連続「危険水域」…読売世論調査(2024年3月25日『読売新聞』)

 読売新聞社が22~24日に実施した全国世論調査で、岸田内閣の支持率は、5か月連続で「危険水域」といわれる2割台にとどまった。自民党派閥の政治資金規正法違反事件を受けた国会の政治倫理審査会での説明や、党則改正に対し、自民支持層からも厳しい目が向けられている。

 岸田内閣の支持率は昨年11月調査で初めて2割台に落ち込み、その後も24~25%で推移している。岸田首相は、政治資金規正法違反事件による国民の自民党への不信を 払拭ふっしょく するため、自ら衆院政治倫理審査会に出席。安倍派と二階派の元幹部らも衆参両院の公開の場で説明に臨んだ。

 しかし、政倫審の出席者の説明に「納得できない」との回答(全体で81%)は、野党支持層で91%、無党派層で80%、自民支持層に限っても80%と、支持政党にかかわらず多数を占めた。安倍派による政治資金パーティー収入の不正還流について元幹部が関与を否定し、実態が解明されないことへの不満の表れとみられる。

 一連の問題を受けた自民党の党則改正についても、自民支持層では、党の信頼回復につながると「思う」が45%(全体で28%)、「思わない」が44%(同64%)と 拮抗きっこう している。

 さらに、和歌山県で開かれた自民党青年局関係の懇親会で、露出の多い衣装を着た女性ダンサーのショーが行われていたことも、政権への打撃となった。問題だと「思う」とした人は全体で73%で、「思わない」の18%を大きく上回った。

 不正還流に関係した安倍派元幹部らに対し、厳しい処分をするべきだと「思う」との回答(全体で83%)は、自民支持層でも77%に上り、前回2月調査から5ポイント上昇した。首相は安倍派元幹部4氏に自ら聴取を行い、党として処分を正式に決定する方向で調整している。

 中央大の荒井紀一郎教授(政治過程論)は「岸田首相は政倫審出席などでリーダーシップを発揮しようとしているが、国民に響いていない。安倍派元幹部らに対する処分が『甘い』と評価されれば、さらに支持率が下落する可能性もあり、正念場を迎えている」と指摘する。

マイナス金利解除 評価60%

 

 読売新聞社の全国世論調査で、日本銀行が大規模な金融緩和策を転換し、マイナス金利政策の解除を決めたことを「評価する」とした人は60%で、「評価しない」の24%を上回った。

 年代別でみると、「評価する」は18~39歳が55%、40~59歳が60%、60歳以上が63%で、高齢層ほど評価が高かった。支持政党別では、「評価する」は、与党支持層で66%、野党支持層で68%、無党派層で54%だった。また、春闘では主要企業などで賃上げ回答が相次いでいるが、今後の暮らし向きについて、良くなると「思う」とした人は17%、「思わない」は75%だった。

 一方、日英伊3か国が共同開発する次期戦闘機を同盟国や友好国などに限定して輸出する政府方針について、「評価する」と「評価しない」はいずれも43%だった。