東京15区の2万4千票は「大きなステップ」 日本保守党の有本香氏「保守層掘り起こす」(2024年4月29日『産経新聞』)

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事務所に入った日本保守党の(左から)有本香事務総長、1人おいて共同代表の河村たかし氏、飯山陽氏、代表の百田尚樹氏=28日午後、東京都江東区(岩崎叶汰撮影)
 
9人の候補が乱立し28日投開票された衆院東京15区補欠選挙で、昨年10月に設立された政治団体「日本保守党」の新人、飯山陽氏(48)は4位にとどまった一方、約2万4千票を獲得した。ジャーナリストで事務総長を務める有本香氏は「最初は泡沫候補といわれたが、大きな最初のステップになった。同じことを全国展開し、理解者を増やしていく」と強調した。落選する見込みが報じられた直後、飯山、有本両氏らが記者団に語った主なやり取りは以下の通り。
地元は受け入れてくれた
飯山氏「国政選挙で初めての挑戦になったが、多くの支持をもらい、票もたくさん入れてもらった。結果は私の力が及ばなかっただけのこと。応援してくれた人、地元の人に心から感謝している」
──9候補が乱立した
飯山氏「われわれの陣営、私の演説は一番多くの有権者に聞いてもらった。それは間違いない。なぜ負けたか。組織がないからだ。組織もなく、お金も知恵もない中、ここまでよく戦えた。われわれを受け入れてくれた地元の人のおかげだ」
百田尚樹代表「敗軍の将、兵を語らず。ただ一言、応援してくれた皆さんの期待に沿えることができなかったことは申し訳ない」
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日本保守党の有本香事務総長=28日午後、東京都江東区(岩崎叶汰撮影)
──今後の党の活動への影響は
有本氏「われわれは新参者でありながら、ずいぶん地域の人に受け入れてもらった。結果を受けて今後の活動方針を決めていく。設立から7カ月過ぎ、党員数は6万5千を超えている。党員の支持や今回の選挙で多くの支持をもらったということを糧に方針を決めたい」
「ただ選挙制度が、政党要件を満たしている政党に有利過ぎる。ポスターの枚数、街宣車の台数、ビラの枚数など、(政党要件を満たさない)われわれは不利な状況で戦いを余儀なくされた」
記者に苦言「ちゃんと数えて」
──立憲民主党新人、酒井菜摘氏が当選確実となった
飯山氏「酒井氏が勝ったのは、立民にそれだけの組織があったから。そして、今回共産党選挙協力し、共産の組織も酒井氏を支えた。それに尽きると思う。酒井氏はネット上で行われた討論会にも出なかった。酒井氏がどういう政策を持っているか分からない。(当選は)酒井氏自身の力なのかは疑問に思う」
──自民党の支持層を取り込んだ感触は
飯山氏「『自分は自民党員だが今回はあなたに入れる』という声は直接、多くの人からいただいた」
──百田氏が街頭で「江東区の人は手を挙げて」といってもほとんど挙げないところもあった
百田氏「全国から、江東区外からたくさん来てくれた。ただ、ほとんど江東区の人がいなかったみたいなことを(記者は)言ったが、そんなことはない。江東区はたくさん。記者さん、聴衆が1500人くらいいたのに、記事では『わずか100人』と書いたから、数をカウントできるのかとちょっと心配している。しっかり数を勘定してくださいね」
有本氏「全国的に日本保守党に熱い期待をしている支持者が多いことは今後の展開の上で心強い限りだ。15区周辺で支持してもらった実感もある。政治を変えるのは民意だから、支持してくれる人が全国津々浦々に増えていけば、必ず議席に結びつく」
生まれてよかったと思える日本に
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写真撮影に応じる日本保守党の(手前左から)飯山陽氏、河村たかし氏、百田尚樹氏=28日午後、東京都江東区(岩崎叶汰撮影)
──自民党支持層や保守層の受け皿になりえるか
有本氏「自民党のおこぼれを頂戴するために日本保守党を立ち上げているわけではない。日本人の多くは誰も日本がつぶれていいなんて思っていない。日本を守り、もっと豊かに強くしていきたい。そして子供や孫に継いでいきたいと思っている。その人たちに『自分たちは日本を保守しようという考えなんだ』と自覚してもらうための運動でもある。自民党の票の受け皿という扱いはやめてほしい。われわれは政治的に自分たちは保守だと自覚する人たちを掘り起こしている」
飯山氏「保守とは何か、リベラルとは何かや、自分の政治に対する意識を持っていない人が非常に多い。街頭で『日本に生まれてよかったか。日本という国が好きか。そうならばあなたは保守か』という呼びかけをしてきた。私に一票を投じる人は、われわれの本当の意味での保守の政策に共感してくれた人といえる」
有本氏「出口調査などを見ると最初はまったく泡沫だろうといわれていたものがそれなりの得票ができるとなれば、同じことを全国に展開して理解者を増やしていく、大きな最初のステップになったと思う」(奥原慎平)