小林製薬の「紅麹」騒動は健康食品への信頼を失墜させた
健康食品への国民の信頼が揺らいでいる。健康な人が体調の管理や病気の予防のために口にするものだからこそ、安全性をないがしろにすることは許されない。不安や不信を生まないよう、国は健康食品制度の改善を急ぐべきだ。
2015年に始まった機能性表示食品制度のどこに問題があったのか。安全性を中心に信頼回復につながる見直しを求めたい。
「紅麹」騒動以降、健康食品を買い控えする傾向が出始めている。日本経済新聞の調査によると4月に入り機能性表示食品の販売が前年同期比で約1割減った。不安や不信の払拭を急ぐ必要がある。
問題の紅麹原料には青カビ由来のプベルル酸など、本来含まれないはずの物質が複数見つかった。腎臓病を引き起こした原因の究明は時間がかかりそうだ。
機能性表示食品は事業者が科学的根拠を示し国に届け出すれば販売できる。なかには医薬品と誤解を招くような機能性(効果)をうたう製品もある。だが、健康被害を想定した対応は不徹底だった。早急に見直さなければならない。
機能性を表示できる健康食品には他に「トクホ」で知られる特定保健用食品や栄養機能食品がある。表示が認められない「健康食品」も存在する。これでは違いがよくわからず利用者が戸惑う。各制度の整理・統廃合も必要になる。