休眠
基金を巡っては、
補助金や損失補てん金の交付といった事業が終了しているのに、長期にわたり人件費などの管理費のみ支出し続ける
基金が21年度に27あったことを本紙が昨年報じた。管理費は21年度に12億円超、22年度は約6億円に上り、識者らが「役目を終えた
基金は
清算すべきだ」と問題視し、国会でも野党が追及していた。
政府は23年12月、全ての
基金の点検や見直しに着手。休眠
基金は22年度末で29あり、23年度中に3
基金が閉鎖され、8
基金も本年度末までに解消し、残高を国庫返納させる。残り18の休眠
基金は存続させる。
廃止の11
基金のうち、9
基金は
経済産業省が設立。同省所管の「
円高・エネルギー制約対策のための先端設備等投資促進事業
基金」は新設備を導入した事業者への
補助金の支払いを16年度に終了。事業の効果分析を行う費用などの名目で管理費支出を続けていた。
存続する18
基金について、政府の
行政改革推進会議の担当者は「事業費の支出がまだ始まっていないものや、損失補てんのための
基金でたまたま損失が出ず、管理費率が100%になったものだ」と説明する。
同会議が最新の全200
基金を点検した結果、23年度に計約4342億円、本年度は計約1124億円が支出の見込みがないとして国庫に返納させる。新型コロナ対策の関連
基金で過大な予算投入が目立った。
また、成果目標が設定されていない
基金が134に上ったことから、今後は全ての
基金に成果を検証できる目標を設けさせる。(山口哲人)
国の基金 年度ごとに予算編成する「単年度主義」の例外として、複数年度にわたる中長期的な事業向けに積み立てる資金。府省庁が独立行政法人や国立研究開発法人といった団体を運営主体に選定し、事業者や生産者らに補助金などを交付する基金が多い。国から予算が投じられた後は国会のチェックが行き届きにくく、必要以上にため込まれることもあり、「埋蔵金」「たんす預金」などと批判される。