「休眠基金」やはりムダだった 政府やっと11件廃止…5466億円が戻ってくるが「18基金は存続」(2024年4月23日『東京新聞』)

 税金などを原資に中長期的な政策の推進に充てる国の基金のうち、本来業務の補助金交付などを行わず支出が管理費だけの「休眠基金」が多数存在する問題で、政府は11の休眠基金を2024年度末までに廃止する。22日のデジタル行財政改革会議で報告した。休眠基金を含む22年度末の基金全体の残高は約16兆6000億円にまで膨らんでいる。このうち5466億円を不要額として国庫返納させる。過大な国費を基金に投じてきたことが裏付けられた。
 休眠基金を巡っては、補助金や損失補てん金の交付といった事業が終了しているのに、長期にわたり人件費などの管理費のみ支出し続ける基金が21年度に27あったことを本紙が昨年報じた。管理費は21年度に12億円超、22年度は約6億円に上り、識者らが「役目を終えた基金清算すべきだ」と問題視し、国会でも野党が追及していた。
 政府は23年12月、全ての基金の点検や見直しに着手。休眠基金は22年度末で29あり、23年度中に3基金が閉鎖され、8基金も本年度末までに解消し、残高を国庫返納させる。残り18の休眠基金は存続させる。

◆9基金経産省が設立

 廃止の11基金のうち、9基金経済産業省が設立。同省所管の「円高・エネルギー制約対策のための先端設備等投資促進事業基金」は新設備を導入した事業者への補助金の支払いを16年度に終了。事業の効果分析を行う費用などの名目で管理費支出を続けていた。
 存続する18基金について、政府の行政改革推進会議の担当者は「事業費の支出がまだ始まっていないものや、損失補てんのための基金でたまたま損失が出ず、管理費率が100%になったものだ」と説明する。

◆134基金には成果目標の設定なし

 同会議が最新の全200基金を点検した結果、23年度に計約4342億円、本年度は計約1124億円が支出の見込みがないとして国庫に返納させる。新型コロナ対策の関連基金で過大な予算投入が目立った。
 また、成果目標が設定されていない基金が134に上ったことから、今後は全ての基金に成果を検証できる目標を設けさせる。(山口哲人)

 国の基金 年度ごとに予算編成する「単年度主義」の例外として、複数年度にわたる中長期的な事業向けに積み立てる資金。府省庁が独立行政法人や国立研究開発法人といった団体を運営主体に選定し、事業者や生産者らに補助金などを交付する基金が多い。国から予算が投じられた後は国会のチェックが行き届きにくく、必要以上にため込まれることもあり、「埋蔵金」「たんす預金」などと批判される。