離婚後も父と母双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入を柱とした民法などの改正案は一部修正した上で衆議院本会議で自民党や立憲民主党などの賛成多数で可決され参議院に送られました。
裁判所がDV=ドメスティック・バイオレンスや子どもへの虐待があると認めた場合は単独親権となります。
付則と付帯決議の内容は?
民法などの改正案は、野党側から、離婚する際に、父と母がDVなどを理由に対等な立場で協議できず、共同親権を強制させられる恐れがないか懸念が出たことなどを受けて、自民・公明両党と立憲民主党、日本維新の会の4党による修正協議が行われました。
その結果、衆議院法務委員会で改正案の付則を修正し、
▼共同親権を選択する際に父母双方の真意によるものか確認する措置を検討することや
▼「共同親権」のもとでも一方の親のみで判断できる「急迫の事情」がある場合や「日常の行為」とはどのようなものか政府が周知すること、それに
▼法律の施行後、5年をメドに見直しを検討することなどが盛り込まれました。
また付帯決議もつけられ、
▼「急迫の事情」や「日常の行為」を具体的に示すガイドラインを制定することや
▼家庭裁判所の増員など体制を拡充することなどを求めるとしています。
「共同親権」導入めぐり さまざまな声
「共同親権」の導入をめぐっては、さまざまな声が上がっています。
【賛成】“離婚後も子どもと関わることができる社会に”
【反対】“DVのおそれあるケースに対処できるか”
一方、導入に反対の立場を取る「『離婚後共同親権』から子どもを守る実行委員会」の代表世話人で和光大学の熊上崇教授は、DV=ドメスティック・バイオレンスのおそれがあるケースに対処できるか、疑問視しています。
法案では、DVや子どもへの虐待のおそれがある場合、家庭裁判所が判断して単独親権にしなければならないとされていますが、熊上教授は「精神的・経済的なDVや物的証拠がない場合は、裁判所が適切に判断せず、共同親権になるおそれがある」と述べています。
また、「離婚後も、差し迫った場合を除いて子どもの進学や医療、転居などには双方の親権者の合意が必要になる。このため合意を盾に、子どもと同居する親が別居しているもう一方の親に支配されるおそれがある」と主張しています。
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林官房長官「子の利益を確保することにつながる」
林官房長官は午後の記者会見で「父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、責任を果たすことが重要で、法案は、父母の離婚に直面する子の利益を確保することにつながるものだ。引き続き、国会審議などを通じて改正内容を丁寧に周知していく」と述べました。