学校は謎ルールの宝庫(2024年4月13日『琉球新報』-「金口木舌」)

 識名小学校は8日の始業式で「式服」の着用を児童に求めなかった。年に数回しか着ない式服の購入は負担感が大きい。朗報と受け取った保護者は多いはずだ

▼「式服」は誰もが知る風習だと思いきや、実はそうではないらしい。県外出身の後輩は「式服なんて知りませんでした」。沖縄出身の先輩は「自分が子どもの頃はなかった」。歴史の浅いローカルルールのようだ
▼学校は謎ルールの宝庫だ。小学校では長ズボン禁止、中学では眉ぞり禁止。靴下や下着の色を指定する学校も。ブラック校則と揶揄(やゆ)されるようになり、ようやく改まる機運が生まれた
▼識名小はPTAに外部サポーターを加えた「PTSA」の組織を持つ。今回の取り組みもPTSAの提案があり、学校も「大切なのは服装ではなく気持ち」と応えた。さまざまな人が関心を持つことで学校は変わる
▼式服指定がなくなった識名小の始業式は、まさに十人十色。白黒の式服もりりしいし、色とりどりの私服もおしゃれだ。自分を表現し、違いを認める。多様性尊重の時代に似合う風景を見た。

 

始業式、式服でなくてもOK 那覇・識名小「服装より気持ち」 少ない着用機会、経済的にも負担 沖縄(2024年4月9日)