過ちて改めざる、これを過ちという(2024年4月12日『しんぶん赤旗』-「潮流」)

 経団連の十倉会長が思わず気色ばみました。サプリメントなどの機能性表示食品の解禁を、経団連がくり返し要望した事実を記者から問われ、「むかし、規制緩和を言ったから、けしからんというおしかりですか」と

▼重大な健康被害を生んだ小林製薬の紅麹(べにこうじ)サプリメントは、パッケージに「悪玉コレステロールを下げる」と大きく表示されていました。このように健康への効果を、国への届け出だけで商品に表示できるのが、機能性表示食品です。第2次安倍政権が2015年にこの制度を導入しました

▼モデルにしたのは米国のダイエタリーサプリメント健康教育法です。米国では同法の制定を機に、健康食品の市場が4倍に急拡大しました。日本でも市場拡大が期待できるとして、05年以来、経団連は何度も、食品の機能性表示の規制緩和を要望していました

日本共産党をはじめ、消費者団体や日弁連は、安全性をなおざりにする機能性表示食品の解禁に反対してきました。食の安全・監視市民委員会共同代表の佐野真理子さんは「今回の深刻な健康被害は起こるべくして起きた」と、本紙日曜版(4月14日号)で語っています

▼十倉会長も事の重大さに気づいたのか、先の言葉に続けて「ひとの健康にかかわる問題ですから、もう少し厳しく慎重にやるべきだった」と弁明しました

▼過ちて改めざる、これを過ちという―『論語』にもこんな教えがあります。最優先は国民の健康と食の安全。それを危うくする制度はすぐに改めるべきです。