岡口基一元判事、罷免された翌日に「講師」就任 法律受験指導の「伊藤塾」塾長は「新しい世界で可能性を」(2024年4月4日『東京新聞』)

 
 交流サイト(SNS)で殺人事件の遺族を傷つける投稿を繰り返したとして3日に裁判官を罷免された岡口基一(きいち)元判事(58)が4日、法律資格試験の受験指導をする「伊藤塾」(東京・渋谷)の専任講師に就任した。塾が明らかにした。民事訴訟に長く携わった経験を生かし、裁判実務や知的財産法などを教える。

◆司法試験受験生や若手に人気の著書多数

 岡口氏は1994年に任官。水戸地裁や東京高裁の判事などを歴任する傍ら、民事訴訟の実務などに関する著書を複数執筆し、特に「要件事実マニュアル」は司法試験の受験生だけでなく、若手裁判官や弁護士に広く読まれているという。2008年ごろからツイッター(現X)などで法律関連の投稿を始めたが、自身の下着姿の写真を載せるなどして物議をかもした。
 
3日、裁判官弾劾裁判所に向かう岡口基一氏

3日、裁判官弾劾裁判所に向かう岡口基一

 伊藤塾塾長の伊藤真弁護士は「30年近い裁判官としての実務経験、専門知識や執筆活動で評価されてきた実績がある。けじめをつけ、新しい世界で可能性を広げてほしい」と語った。

◆最低5年は弁護士などになれない

 岡口氏は21年、殺人事件の遺族を傷つける投稿を繰り返すなどしたとして訴追された。弾劾裁判所は4月3日、「遺族に苦痛を与え続け、表現の自由として裁判官に許容される限度を逸脱した」として罷免を言い渡した。岡口氏は裁判官の身分に加え、弁護士などになる法曹資格も失い、最低5年は資格回復できない。(太田理英子)