がん患者の子どもたち(2024年3月26日『』-「天風録」

 1月に腹部の手術をして表舞台を離れ、体調が気遣われていた英国のキャサリン皇太子妃。がんが術後に見つかり、治療中だと公表した。まず案じたのは、王子と王女3人の動揺だったのではないか

▲5歳、8歳、10歳とまだ幼い。自身のがん闘病について説明し、日に日に体調は良くなっているよと安心させたという。かんで含めるように時間をかけて伝えたため、世間への公表が遅くなってしまったのだろう。子を思う心は洋の東西を問わない

▲子育て世代の患者は日本でも増えている。国立がん研究センターによると、がんと新たに診断される人で、18歳未満の子どもを持つのは年約5万6千人。多くは、がんについてわが子にも伝えている。不安に押しつぶされぬよう心を配りながら…

▲がんになったのは誰のせいでもない。そう伝えることで、子どもは罪悪感を持たなくなるそうだ。医療の進歩による5年生存率の大幅な改善も、子どもの不安を和らげているに違いない

闘病を明らかにしたキャサリン妃には回復を願う声が国内外から届いている。苦境に立ち向かう力として、励ましは広く伝わっていくことだろう。3人の子どもたちにも、他のがん患者にも。