「皇族が羽根を伸ばせる場所」 愛子さまが卒業した学習院大目白キャンパス周辺を歩く(2024年3月22日『AERA.COM』)

 

 天皇、皇后両陛下の長女愛子さまが通う学習院大(東京・豊島区)で20日、卒業式があった。近隣の大学もふくめて、「ハレ」の日を迎えた振り袖姿の女子学生らであふれ、カメラを構えた皇室ファンも集まった目白キャンパス。皇族方との「距離感」を感じながら、記者が歩いた。

【写真】愛子さまが卒業式を迎えた学習院大の様子はこちら

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 愛子さまが所属する文学部の卒業式は、20日午前に開催される予定となっていた。

 午前9時ごろ、学習院大の目白キャンパスの正門前に行くと、愛子さまを一目見たい、その姿を写真に収めたいという人たち10人ほどが、カメラやスマホを手に、すでに待ち構えていた。皇族関係者の「追っかけ」やYouTuber、皇室ファンらしい。

 愛子さまは、卒業式が始まる前の午前9時すぎ、大学内で報道陣の前に姿を見せ、 「最初の3年間はオンライン授業で、最後の1年はこのキャンパスに通い、たくさんの新しい学びを得て充実した4年間を過ごすことができました。素晴らしい先生方や友人たちと出会えたこともうれしく、またありがたく思っております」 と、卒業にあたっての感想を述べた。

   この日は、天候が悪化する予報になっていたが、うららかな日差しがさしていた。  まだ式典が続いていたと思われる午前10時ごろ、カメラを構えた人たちのところに警備関係者がやってきて、こう伝えた。

 「ここで待っていても、これから1時間、2時間では終わりません。卒業式以外にもいろいろと催しがあり、夕方頃まではかかる。愛子さまが正門前に出てきて、ニッコリ笑って撮影?

 それはありません。車で出ます。長時間待たせてガッカリさせてもと思い、お知らせしておきます」

 それを聞いて、記者は正門前から移動。2時間ほど後に正門を通りかかると、カメラを構えていた人たちの姿もいなくなっていた。  

■皇族を「特別扱い」しない

 この日は学習院大だけでなく、近くにある日本女子大川村学園女子大などでも卒業式があり、最寄りのJR目白駅の周辺は、振り袖に袴姿のあでやかな女性たちでいっぱいだった。

 愛子さまと同い年で、別の女子大の卒業式だったという振り袖、はかま姿の女性は、 「愛子さま、おめでとうございます。というか、私も今日はおめでとうなので」  と、笑顔で話した。

 愛子さまと同様、新型コロナのために2年生の途中までは大学で講義を受けられなかったが、それ以降は楽しく過ごすことができたという。 「愛子さまが立派になっていて、驚いた。同い歳なのに歳上に見えちゃいますね」

   この目白で、愛子さまはどんな学生生活を送っていたのだろうか。

 愛子さまは卒業についての感想を文書で公表し、 「学年の枠を越え、友人たちと一緒に授業を受けたり、じかに話をして笑い合ったり、学内のさまざまな場所を訪れたりしたことは、私にとって忘れることのできない一生の思い出となりました」  とつづった。

 学習院大ではない女子大の卒業式に臨んだという女子学生たちによると、愛子さまにはいつも一緒にいるような仲のいい友達がいるようだという。

学習院大の友達が『同じ大学キャンパスにいても、愛子さまと気軽に話せない』とボヤいていました」

   目白駅前にある商店街の「目白商業協同組合」理事長の鈴木謙一さんは、学習院に通う皇族方と商店街にはつながりがあると語る。

秋篠宮紀子さまがご結婚する前、この商店街の喫茶店で、ケーキを食べながらデートしていたと大騒ぎになったことがあったんですよ。今の天皇陛下は音楽をなさっていたから、音楽仲間と飲みに来たりね。今はもう閉店したけど、この先のお寿司屋さんには常連で、よく来ていたんですよ。陛下はお寿司が好きだから」

 この周辺の住民にとって、皇族方は見慣れた存在だという。 「他の地域だと大騒ぎになるけど、目白の人は皇族を見ても、『あ、また来てるわ』くらいで特別扱いはしない。だから目白は皇族が気兼ねなく、羽根を伸ばせる場所だったのでは」

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