自民が不記載で80人処分検討、「除名」は見送る方向 岸田首相「処分前の衆院解散考えず」(2024年3月18日『読売新聞』)

 
自民党本部=東京・永田町

自民党が派閥パーティー収入不記載事件を受け、安倍派(清和政策研究会)、二階派志帥会)の議員計80人規模を4月上旬にも処分する方向で検討していることが18日、分かった。党が定める処分で最も重い「除名」は見送る見通し。岸田文雄首相(自民党総裁)は18日の参院予算委員会で、不記載が発覚した議員に対する処分と衆院解散の時期について「処分前の解散は考えていない」と答弁した。

首相は18日の党役員会で、処分について、政治資金収支報告書への不記載額や役職歴、説明責任の果たし方などを踏まえ総合的に判断する考えを示した。説明責任について、首相は予算委で「説明の形だけではなく、説明の中身が大事だ」と述べた。

首相は衆院解散の時期に関し、「まずは信頼回復のために、党として政治責任のけじめをつける。この国会で、再発防止策の法律を成立させることによって確定する」と述べた。さらに「先送りできない課題に専念しなければならない。これに尽きる」とも語った。

自民の茂木敏充幹事長は18日の記者会見で、衛藤晟一党紀委員長(安倍派)から同日に辞任の申し出があったと明らかにした。衛藤氏は「不記載はないが誤記載があったことの道義的責任を取りたい」と説明したという。茂木氏は後任を19日以降にできるだけ早く決める考えを示した。

一方、自民は17日、東京都内のホテルで党大会を開き、「政治とカネ」をめぐり議員処分を厳格化する党則、規律規約、党の運営指針「ガバナンスコード」の改正を採択。首相は事件を謝罪した上で「私自身が先頭に立って党改革、政治改革を断行することを改めて約束する」と訴えた。

政治の信頼回復に向け、首相は自身を含む党幹部が全国各地に足を運び、国民の意見を聞く「政治刷新車座対話」(仮称)を行う考えも明らかにした。