◆自民党を上回るフォロワー数
飯山陽氏
記者会見には代表の百田氏、事務総長を務めるジャーナリスト有本香氏らが同席した。
作家・百田尚樹氏(2013年撮影)
3月9日には、党員が6万人を突破したと発表。この数は国民民主党の3万6000人あまり(2023年の代表選で投票権のあった党員・サポーター数)、日本維新の会の約4万人より多い。ちなみに、党員になるには「一般党員」で年6000円、党の財政を特に支援する「特別党員」なら年2万円が必要だ。
百田代表の名前で発表された結党宣言は、こんな書き出しで始まる。
「日本ほど素晴らしい国はないと私は断言します」
日本保守党の重点政策は「日本の国体、伝統文化を守る」「減税と国民負担率の軽減」「議員の家業化をやめる」「移民政策の是正」など8項目。「減税」や「議員の家業化をやめる」は、党の共同代表に迎えた河村たかし名古屋市長のカラーだ。「伝統文化を守る」の具体的な中身には「名古屋城天守閣の木造復元完遂」も挙げる。
◆「5年以内に政権を取る」と宣言
結党から間もない10月21日、午後7時から東京・新橋駅前で開かれた党の街頭演説会には、百田氏や河村氏、有本氏らが参加。土曜日の夜にもかかわらず、SL広場を埋め尽くす聴衆が集まった。日の丸の旗を手に持つ人は思ったほど多くはなく、スマホで動画を撮りながら静かに耳を傾ける人が目立った。
百田氏といえば、右派論壇では発信力を持つ論客の1人で、自民党保守派との関係も深い。2015年6月には自民党の若手議員らの勉強会に招かれ、米軍基地問題などで自民党政権に批判的な論調の琉球新報と沖縄タイムスを念頭に「本当に沖縄の二つの新聞社は絶対つぶさなあかん」と発言して物議を醸している。
そんな百田氏がなぜ、自民党に矛先を向けるようになったのか。
◆LGBTQ理解増進法は「違うんじゃないか」
百田氏が新党を立ち上げた最大の理由に挙げるのが、2023年6月に成立、施行された性的少数者(LGBTQ)への理解増進法だ。
法案は、2021年に与野党の超党派で合意していた内容を変更。「多数派」に配慮した「全ての国民が安心して生活できるよう留意する」との条項が設けられたため、立憲民主党や共産党などは反対した。保守派の意向を踏まえた形になったものの、国会採決では自民党からも造反者が出た。
百田氏は2023年10月17日の結党記者会見で、LGBTQ理解増進法に賛成した自民党に「ちょっと違うんじゃないか」と怒りをぶつけた。日本保守党の重点政策「伝統文化を守る」には、学校における理解増進教育の推進を定めた条項を法律から削除することも盛り込まれている。
百田氏は「中国の脅威に対して何もしていない」と、岸田政権の外交にも矛先を向ける。
2022年の参院選では、憲法9条への自衛隊の明記や選択的夫婦別姓への反対など、右派的な政策を打ち出した参政党が、国政選挙初挑戦で1議席を獲得している。同様の政策を掲げ、Xのフォロワー数や党員数を着実に伸ばしている日本保守党が今後、百田氏の高い知名度を武器に、岸田政権に批判的な保守層の受け皿となる可能性はある。
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日程は4月16日告示、28日投開票。東京15区のほか、島根1区、長崎3区でも同日にそれぞれ補選が行われる。